怒りという感情は瞬間的に起きるので、コントロールが難しいと思っていました。
しかし怒りが伴う行動は、のちに後悔することばかり。
また、他人から向けられる怒りの感情も、本当にしんどいです。
しかしその特性とサインを知れば、それらを上手にコントロールし活用できるのです。
こんばんは、ラブです。
あなたの感情にトリセツをつけるために
感情がわかると、あなたが変わる!
本著の著者は「対人関係療法」という、感情を主に扱う精神療法を専門とする精神科医です。
感情をじょうずに扱うことで、心の病を治していくことは可能で、感情のパワーはとても大きいと述べています。
心の病だけではありません。
「感情の扱い方」は病気ではない人にも通用します。
感情をじょうずに扱えるようになることで、以下のような効果が期待できるのです。
・ムカッとしても、すぐ対処できるので、機嫌よくいられる
・不安になっても、「やってみよう!」と思えるようになる
・ウツウツとした気分を引きずらなくなる
・人間関係のトラブルが減る
・感情的な人と会っても、傷つきにくくなる
・ネガティブな感情が減るので、幸福感が増える
・イヤな気持ちを抱えなくなるので、健康になる
・今、自分が抱えている問題点がわかる
・感情をコントロールできると、もっと自由に生きられる
「困った感情」は取り扱い方を間違えると、トラブルや病気につながります。
しかし、人を不幸にする一方で、問題解決の糸口になったり、人生をより良いものへ向かうきっかけにもなるのです。
単に「イヤなもの」と遠ざけるのではなく、きちんと扱うことで、あなたの人生の質
を上げることができます。
世間の「感情」に対する常識のウソ
一人一人が違う感情を持っているから、トリセツ、とするのは難しいのではないかとも考えられます。
確かに、一概には同じとは言えない部分があることを著者は指摘しています。
しかし、「感情」への対処法で世間の常識と言われていることには、扱い方を間違えると感情を読み間違えるケースがたくさんあるのです。
たとえば、
・頭にきても、できるだけ我慢する
・喧嘩するほど、仲良くなれる
・侮辱されたら、仕返しをしないと自分がみじめになる
・どんなときも、他人に嘘をついてはいけない
こうした間違った「常識」を信じていると、人生の質が落ちると著者は言います。
もちろん、人生の様々な場面によって状況は変わりますが。
ただ、感情の取り扱い方には基本があり、いろいろな状況に応用して、感情の本来の役割を活かすことで、あなたの人生をより豊かにしていくことが可能なのです。
「感覚」は変えられないが、「感情」は変えられる
何かを知らせるという点で、感情は身体感覚と似通っていますが、似ていないところもあります。
身体感覚の場合「火の上を歩く」修行をするなら、熱さを感じない人間以外は「熱い!」ものは、「熱い!」。
一方感情は、「身の回りに起きたことをどう認識して扱うか」によって感じ方が変わります。
とらえ方を変えれば、感じ方も変わる
例えば、あなたが転職したとき。
「転職先で上手くやれるか、わからない・・・。」と不安でいっぱいになるのか、
「転職で不安なのは、当たり前。
しばらくペースをつかみながら無理せずやっていこう」
と考えるのか。
感情について、何も知らないまま、流されるままにいることは、大きなリスクがあるのです。
では、遅くなりましたが、本題に入ります。
ここから必要になるものは、
①自分の感情を認めてみようという勇気(少しでも十分)
②ざっと一読してみようという心
③ノートと筆記用具
です。
あなた自身の「怒り」のトリセツ
怒りの役割~「不愉快なずれがある」というサイン
怒りという感情の本来の役割は、「何かが上手くいっていない」ということをということを私たちに知らせることです。
例えば、親切をしたのにお礼が返ってこない、相手に素知らぬ顔をされる、などのときちょっとした「怒り」が起きますね。
怒りは、「困った状況」を知らせる感情
ずれを感じ、上手くいっていない状況、つまりそれらは「困っている」状況です。
あなたの過去を振り返ってみると、あなたが感情的に怒りを感じたときは、困った状態でなかった場合などなかったのではないでしょうか。
「こうなるはずだったのに!」「余計な邪魔が入った!」など、想定外の「困ったこと」(予定狂いの怒り)のパターンが多いと思います。
怒りは、「あの人に腹が立つ」など、「相手に対する感情」をあらわしていると思っている人がほとんどですが、実は「自分が困っていることを示す感情」でもあるのです。
ちなみに、「自分並んでいないけれど、列に割り込む人を見ると腹が立つ」などは、あなたが被害を受けなくても起きる「怒り」の感情。
これは「当然守るべき社会のマナー」をかき乱されることへの困惑から引き起こされるのです。
「怒り」への対処は、「うまくいかせる」と「期待を変える」
あなたが怒りによって「何かがうまくいっていない」「自分は困っている」と理解出来たら、次の2つの選択肢があります。
①うまくいっていないことを、うまくいくようにする
②「うまくいくはずだ」というあなた側の期待を変える
怒りが強めに出るタイプは、まずは身体にアプローチ
怒りがあまり強く出ない人は読み飛ばしてください。
激しい怒りを感じた場合、まずは思考できる程度まで感情を鎮めます。
外に出る、走る、早足で歩く、踊る、大声で歌う、深呼吸するなど。
許せないという感情を身体全体で受けることで、若干のストレス解消をするのです。
「〇〇は許せない・・・」とばかり考えていると、文字通り「頭に血が上る」状態になります。
それを身体全部を使うことによって、少しバランスをとる、というイメージです。
また、いったん怒りから離れてみることをする。
「これを見れば気分転換になる」とわかっているお気に入りのDVDを少し観る
、なども有効です。
「親友ノート」を使う
少々冷静になって来たら、自分を怒らせた状況や人の言葉をノートに書いてみるのもとても有効な手です。
そしてもしも親友が同じような状況に置かれていたり、同じことを言われていたら、あなたは何というか考えてみましょう。
共感的、同情的なものになると思います。
自分のことと思うと、「こんな小さなことで怒るなんて、自分の器が小さいかも」と思いがちですが、親友にあてる言葉だと思って書くことで、自己肯定効果を持ちます。
まずは、自分の感情が正当なものだと認めることは、大事なステップです。
例えば
(状況)
別の業務が忙しく、提出物を忘れたら、上司にののしられた
(上司の言葉)
お前、いつもダメだな!
(自分の気持ち)
むかつく。こっちも目一杯残業しているのにその言い方?
でも、忘れた私が悪いんだし、腹を立てる権利はないかな。
(親友)
それは辛かったね。一生懸命やっているのに、ののしられたら悲しいよね。
人格否定だけは、どんなときもやっちゃだめだよね。
上司もパニクって、感情的になりすぎているんだね。
私はあなたが頑張っていることを知っているから、応援してるよ!
「怒り」を他人にぶつけるのは無意味。「正しい使い方」ではないです
怒りという感情の機能を理解し、使っていくことは大切です。
つい相手にぶつけたくなりますが、ぶつけられると人間は「攻撃された」と思うと、自己防衛の反応で、「反撃」「自己正当化」「逃避」をします。
「何かうまくいっていない」状況を改善したくても、相手は自己防衛にエネルギーを使うので、本質的な状況の改善にエネルギーを使えなくなります。
怒りをぶつけても反撃しないで反省と改善をしてくれる人もいますが、人によっては(特に今迄ひどく傷つけられてきた人など)、反撃するとひどい目に遭うのを知っているからです。
しかし、怒られた本人が納得しているわけではありません。
怒られたことで自虐深く傷つき、、「また私はとんでもないことをしてしまった」と自虐的になり、怒られないことを基準に行動してしまいます。
「心からの反省」「困った状況の改善」にはとりかかってもらえないでしょう。
ですから、自分の怒りを解決しようとしたら、人に感情をそのままぶつけるという選択肢はないのです。
「怒り」の活用
①頭の中の「自動翻訳機」を使う
怒りを本来の目的通りに使うには「自動翻訳機」が必要です。
怒りを感じたら、「頭にくる」→「私は困っている」と訳すと、解決方法の視野がパッと開けます。
また、他人があなたに怒っているときも同じです。
怒っている人を見たら、「困っている人なんだな」と自動翻訳すると、怖さや理不尽さが減るそうです。
感情は別の感情に化ける
例えばLINEの返事を返さない彼氏・彼女にイライラする場合。
本当は、相手の気持ちが不安なんですよね。
これは、「不安」が「怒り」に化けていると言えます。
化けた姿である「怒り」をぶつけても、相手は「責められた」と思うだけです。
「不安」が「怒り」に化けるのは、勇気の問題がそこにあります。
「返事が返ってこなくなると、とても不安になる」と口にするのは、ちょっと勇気が必要ですからね。
しかし、「ちょっと返事を打つことも出来ないの?」と責める方がずっと楽です。
でも、ほんのちょっと勇気を出して本心を伝えることが、「怒り」の適切な使い方です。
②相手を「自分の領域」に踏み込ませない
例えば、
・「正社員になれ」「公務員がいい」と人生に介入する母に腹が立つ
・「いつ結婚するの?」「できないの?」という母の言葉が許せない
人間である以上それぞれに、自分しかわからない「自分の領域」があります。
そこにずかずか入り込んで、決めつけると「怒り」を感じます。
これは住居への不法侵入と同じ。
でも、入り込んでいる人はそれが不法侵入であると気づきません。
相手が母親などの身近な存在であると、愛情に見せかけた押しつけが簡単に起きてしまいます。
他人に領域を侵されないコツ
それは、「領域侵害はなかった」という結果に持っていく方法です。
例えば「正社員じゃないと」「公務員じゃないと」という母親に対して、「へぇ。お母さんはそう思うんだ」と流す。
「いつ結婚するの?」「できないの?」という言葉に「お母さんの立場からしたらそう思うんだろうね」と流す。
あくまでも、「自分が決めつけられた」わけではなく、「お母さんがそう考えた」というところに焦点を当てるのです。
「なるほどね」「考えてみるね」も良い表現です。
自分が決めつけられたのではなく、「お母さんがそう思っているだけ」とすることで、領域侵害を水際で防ぐ。
それによって、怒りのぶつけ合いと修羅場になることもなくなります。
お母さんは心配で言っているのですが、こちらはこちらの人生。事情もある。
全ては「こちらの領域」で、たとえ母親でも他人に言われる筋合いのないものです。
他人が怒っている場合
すぐキレるムカつく上司
しょっちゅうキレる人に困っている場合。
その人は、よほど自信がない人か、よほど情緒不安定な人なのです。
自分の決めたやり方から少しでも外れると不安になる、世間知らずな人なのかもしれません。
それを理解するだけでも、少しは収まる人もいますが、多くはそれでは不十分です。
相手は「ムカつく人」ではなく「不安が強い、気の毒な人」だと認識を転換することで、あなた自身が受けるストレスが変化してきます。
キレる人には「安心」を与える
キレる上司に何かしてあげられるとすれば、そのキーワードは「安心」です。
おだてるというのも悪くない手です。
媚びを売るようでイヤだと思うかもしれません。
しかし、同じ「おだてる」でも、自分の評価を高めるためではなく、相手を安心させるためであり、心意気が全く違います。
また、あなたに非がないのに怒られるとき、「私に非はありません」と言うより「すみません」と言う方がうまくいくこともあります。
これは謝罪ではなく、パニックになっている相手をこれ以上逆上させないために、落ち着かせる言葉(お見舞いの言葉)なのです。
別に自分に非が無くても、お見舞いのひとことくらいは言えますよね。
仕事でぼろぼろになっている相手に、お茶を淹れてあげるようなものです。
「怒り」を間違いやすい例
「ケンカするほど、仲がいい」?
本音をさらけ出して、相手とのつながりを感じることで、仲が良くなるのは本当です。
そこにケンカという怒りのエネルギーが必要かというと、そうではありません。
ケンカ別れになるというリスクもあり、「一生許せないひと言」がその過程で出る可能性もありますよね。
この「迷信」は「本音を打ち明け合った方が、本当に仲良くなれる」という訂正が必要です。
子どもはガツンと言わなければしつけられない
しつけは大事です。
「門限は守る」「お年寄りには席を譲る」など、理由をはっきりとすることも大切ですね。
しかし、親の言うことを納得し、そのしつけが一生ものとして身につくには、愛情が土台にならなければなりません。
「怒り」を見せることによる「恐怖心」を用いるのは大きな勘違いです。
一見、恐怖でその場はしたがって見せたとしても、よそでストレスを発散するなどに必ずなります。
納得のあるなしは、人生の質を左右させます。
親の機嫌でガツンと叱っていては、子どもは「人の顔色をうかがう」習慣がつくだけで、人生のルールがわからなくなってしまいます。
私は人に向けられる怒りの感情がかなり苦手です。
でも、それは「不安」と「情緒不安定」でしかないと思うと、少しラクになりました。
人に心の領域を侵犯されるのは、本当にしんどいですね。
同じ母親として気持ちは大いにわかりますが、それは愛情の形を真似た執着。
うまく流して自分を守っていかないと、ほんとうに大変です。
ゆっくり過ごして、良い夢を見てくださいね。
では、また。