4月から始まった新しい環境にも慣れてきました。
そんな今だからこそ、新生活をバージョンアップするチャンス。
もっとあなたの1年を良いものにしていくために、時間とモノと自分への考え方を変えてみませんか?
80:20の法則を味方につける
イタリアの経済学者が富の再分配の不均衡や農作物の収量の偏在を研究する中で、さまざまな現象に偏りがあることに気づきました。
たとえば成果の80%は全体の20%の顧客が生み出している。
仕事の成果の80%は全体の20%の作業部分から生まれている。
こうした指数関係は90:10といった関係にもなりますが、本質は同じです。
数少ない重要なものが成果やトラブルの大半を支配しているのです。
この法則を意識して、最も成果に結びつく20%の部分に時間を集中投下することで、短時間で成果を確保できます。
たとえば、10ページの企画書を10日間で作ったとします。
こうした書類でもっとも大事なのは、企画の新規性や独自性ですよね。
それは1~2ページだったりします。
すると、この2ページさえ満足がゆくようにできているならば、残りの8ページは相対的に時間をかけなくてよいのです。
たとえば、この2ページのために5日間をかけてクオリティをあげ、残り8ページは趣旨説明と資料などの雑用なので、2~3日で済ませることで、全体として短時間でクオリティをあげることができます。
さらにパレートの法則から力をもらえるように配置も工夫できます。
こうした成果の80%を生み出す20%部分だとわかってる重要なタスクについては、朝一番の、もっとも集中力が高まっている時間を割り当てる。
トラブルを減らしたり、困難を乗り越えたりするのに、パレートの法則は重要な考え方です。
さらに、スキルを学習する際に教科書すべてを解く時間がないならば、最も重要な基礎を身につけることができる20%に集中することができます。
「いま、自分は80%を手に入れるための20%に取り組めているのか?」
それは時間を上手に使いたいときの魔法の掛け声です。
書類やスライドは半分に。「不完全」でよし
パレートの法則の応用例として実践できるのが、書類やプレゼンの作成です。
あなたが枚数指定のない書類作成を任されたとします。
最初に「10ページくらいになりそうだな」と思ったら、目安としてそれを、同じ内容で5ページで作れないか?から考えます。
まじめなあなたは、「不完全なものになってしまう!」という気持ちが湧いてくるかもしれません。
しかし、分量を半分にすることで、クオリティに寄与しない細かい部分をカットするのが、パレートの法則を意識した作業量の見積もり。
もうひとつ、仕事の見積もりを最初から半分にするのは、「作業は後から減らすと無駄が多くなりそのうえ難しい」からです。
作った資料は使いたくなるものですからね!
それに対して、あとから増やすのは足りない部分を足す方が、「必要なものを後から付け足す」作業なので、短い時間でできます。
英語には「完璧を追い求めることは愚か者の所業」という慣用句があるそうです。
見積もりの1段階では”完璧”を捨てて、あえて不完全さを求める方が、時間の使い方としては賢いのです。
1日の最初の30分に1番回避しているタスクに手を付ける
ブライアン・トレーシー氏の”Eat That Frog!"という著書。
タスク管理や時間管理のもはや古典となっています。
その本の中の重要なテーマは、優先度の高いタスクが残っているうちに、優先度が低いものをしてはならないという「カエルを食べる」ルールです。
「カエルを食べるのが仕事ならば、朝一番にそれをすませれば1日にそれ以上ひどいことは起きないだろう。
そして2匹を食べなくてはならないなら、大きい方から片づけるべきだ」
マーク・トゥエイン氏の言葉と誤って伝えられているこの警句は、最も回避している仕事を朝一番に行うことの重要性を教えてくれます。
「意志」に頼らない
しかし大事なのは、ただ「重要なものから始めよう」と、意志の力にまかせることではありません。
むしろ、この「カエルを食べる」時間を特別な時間にするために入念に準備することが、その成功を左右するのです。
そのためには、朝一番に仕事を開始する前に、できれば前の晩のうちに、次の日に最初に行うタスクを決めておきます。
また、この最初の30分は邪魔のない、言い訳を許さない時間にするべく、ミーティングなどは入れないようにします。
この30分で重要なタスクが完了しなくても問題はありません。
まずは取り組み始め、1日に弾みをつける方が重要だからです。
立ち止まってしまいそうなときに「先送りメモ」をつける
仕事を前にどうしても手が止まる。
いつまでもグズグズと手を付けられまい。
そうした「先送り」は、なにも私たちが怠惰だから起こるのではありません。
”The New Habit”の著者のネイル・フォレーしは、先送りは不確定な未来に対する恐怖やストレスに対する対抗手段として自分たちで生み出す心の防衛姿勢だと指摘しています。
それは、心の不安が生み出している見えない壁のようなものですから、安心を与えてあげることでその力をそぎ落とすことができます。
そうした安心感をつくり出す手法のひとつに「先送りメモ」があります。
これは、先送りしたくなる衝動を意識したら、そのときに感じている恐れや不安を隠さずに言葉にしてしまうというものです。
実際にメモをつけてみると、恐れの多くは理不尽であることに気づきます。
たとえば、失敗するのが怖いという不安は「失敗するつもりで仕事をしている人はいない」「最初から完璧にする必要はない」ということに気づくことで、自分を客観視できるようになります。
あとは、こうしたメモを利用して自分への話し方を変えてみましょう。
・失敗するかもしれないので怖い→失敗するのは怖いことだが、なるべくそうならないようにこういう手をうってみよう。
・完璧にできないかもしれないので怖い→まず最初は形にしてみよう。そうすれば方向性が見えるはず。
心の壁は、実は自分で自分に対してかけている呪いのようなものです。
「先送りメモ」でそうした呪いに気づくことができれば、それを解除するヒントも見つかるはずです。
立ち止まった後に、不安になることがとてもたくさんあります!
たくさん書き出してすっきりしようと思います。
今週もお疲れさまです。
よく休んでくださいね。
では、また。