こんなまじめなブログを読んでいるあなただから、今リーダーかもしれないし、このあとすぐリーダーになる可能性もあると思います。
チームの中心となっていたり、数年後にそうした立場になったりするでしょう。
リーダーになってから本書を読むのもとても有効です。
が、もしあなたのグループにリーダーが別にいるならば、なお効果的だと考えます。
あなたがリーダーになったとき、そこで「最強チーム」をつくるために、自分ならどうするかを、チーム発足のそのとき考えても焦って頭が真っ白になります。
ふつうのメンバーのひとりである存在であるのならば、今間の前にいるリーダーを通してチームやリーダーを客観視するトレーニングをしておけば、一番最初から良いスタートができます。
将来きたるべきが来たときに、あなたはどんなチームを作るか?
それイメージしておくこと。
そのための視点をあなたの中で育ててみませんか?
今回この本を読むにあたり、本気で読みすぎて胃の調子が悪くなるという事態になりました。
いつもは土日にリラックスしながらカフェや自宅で本を読むのですが、今回はスタバの隅で赤ペン片手にアンダーラインを引いて読みました。いつもは、しばらくすると手放すことも考え、ラインは引かないんですけど。
いつも持っている付箋紙を忘れたため、レシートをちぎって15か所にしおりを挟みながら読みましたよ。
大人の土日の勉強態度としては、ちょっと気合入りすぎでカッコ悪いのですが、面白いんで仕方ないです。
今現在、すごく若くてやる気のあるメンバーを抱えたチームでリーダーをやらせてもらっているのです。
しかし、能力が高い人たちにも拘わらず、ワタシのチームはそれぞれの力を「たし算」していますが「かけ算」まで発展していないのが現状。
チームの終わりはあと半年。必死です。
先にポイントを言っちゃいますが、「最強のチームをつくる」方法は以下の3つ
1.安全な環境をつくる
2.弱さを共有する
3.共通の目標を持つ
です。
あなたは、学校や会社で「やたらとうまく回転するチーム」に所属したことがあるでししょうか?
1人ひとりが自分で考え、自ら動いて、同じ目的に向かって、がんがん走っていくチーム。
ワタシにとっては、学生の頃の文化祭前日準備のときや、仕事場でのとてもうまくいった部署での思い出があります。
そんなとき、リーダーは決して人並外れて頭がキレたり、カリスマ的存在だったり、統率力に優れていたりしませんでした。
あなたの記憶にある「とても関係性の良い集団」も、そうなのではないでしょうか?
あなたがチームリーダーになったとき、あなたの記憶にある「関係性の良い集団」を作るのが、上記の3つのスキルです。
メンバーひとりひとりが、最高のパフォーマンスを出し惜しみなく発揮できるチームにしていくには、ほんの3つのポイントしかありません。
1.安全な環境をつくる
安全なつながりのあるチームであるとわからなければ、メンバーは安心して全力を出すことはできませんよね。
集団への帰属が確認できる、言葉にならないコミュニケーションができているかが、実際のところメンバーの安心感をつくっていきます。
それは物理的な距離の近さ、アイコンタクト、エネルギー、相手と同じ動作をする、順番に話す、相手を気にかける、ボディランゲージ、声の高さ、価値観にぶれがない、すべてのメンバーの間で会話がある、といったこと、これらを帰属のシグナルと呼びます。
「私たちはここにいて安全か?」「この人たちと一緒にいる未来はどうなるんだろう?」「ここに危険は潜んでいないだろうか?」という不安をなくしていく必要があります。
脳は安全かどうかを繊細なセンサーですぐにかぎ分けてきます。安全であることを常に何度もメッセージとして受け取ることを求めているのです。
マサチューセッツ工科大学のジャレット・カーハンたちによる実験では、プレゼンや交渉を成立させる目標を持ったチームが、最大限にそれぞれの力を発揮できる状態であるとき、重要なのは客観的な情報の中身でなく、パターンが大切であることが分かりました。
そのパターンとは、
1 チームの全員が話、話す量もほぼ同じで、それぞれの1回の発言は短い
2.メンバー間のアイコンタクトが盛んで、会話や伝え方にエネルギーを感じられる
3.リーダーだけに話すのではなく、メンバー同士で直接コミュニケーションをとる
4.メンバー間で個人的な雑談がある
5.メンバーが定期的にチームを離れ、外の環境に触れ、戻ってきたときに新しい情報を他のメンバーと共有する
でした。
どれも一般的な「優秀なチームの特徴」ではなく、完全に見過ごされるような特徴です。
こうした安全で過ごしやすい環境づくりには、マニュアルは存在しません。
帰属のシグナルは、サッカーの試合で味方にパスを出すようなもので、その場で判断して出すスキルでもあります。
こうした安心できる環境づくりには、実践としてこんなものがあります。
聞きすぎるくらいに聞く
「あなたの話を聞いている」というシグナルを送ること。
相手の目を見てうなづき、「それはどういう意味?」と尋ねたり、「それについてもっと話してくれるかな?」と言ったり、アイデアを提案してもらったり。
トップセールスマンは相手の話を遮らないそうです。遮ることが絶対悪いわけではありませんが(創造的な場面など)、相手の話に鈍感にならないことが大切です。
早い段階で自分の弱さを認める(特にリーダーはこれが重要)
人間には、弱さを隠す性質があります。
しかし、最強のチームをつくるには、積極的に自分を開示して、弱点も欠点もさらけ出した方がいいのです。
なにか提案するときには、「あくまでの個人的な考えなんだけど」などと、自分の正しさを主張することなく、他のメンバーの提案も歓迎しつつ行う。
「私の提案に何か穴が合ったら教えてほしい」「あなたはどう思う?」などの言葉です。
使者を抱きしめる
悪い知らせや厳しいフィードバックへの取り扱いは、安全な環境を作るうえでのカギとなります。
「使者を撃つな」ということわざがあります。
悪い知らせを持ってきた使者を抱きしめ、「知らせてくれて本当にありがとう」と伝えなければなりません。
すると、安心して使者は次回からも悪いニュースを伝えてくれます。
未来の約束をする
大リーグのセントルイス・カージナルスは若手の育成にも力を入れることで有名です。
テネシー州に拠点を置くジョンソンシティ・カージナルスはマイナーリーグに所属するカージナルスの最下部のチームです。
ある日、バスの移動中コーチが車内のテレビ中継を見るよう言いました。
「あのピッチャー、3年前まで君たちと同じ場所に座っていたんだ」
この5秒もかからないこの言葉の効果は絶大でした。
しつこいほど「ありがとう」を伝える
成功しているチームには、「ありがとう」が頻繁に聞かれます。
しかもトップのメンバーが、いちばん下のメンバーに積極的に感謝の言葉をかけています。
すべての人に発言の機会を与える
これは言うのは簡単ですが、実行するのはとても難しい。
そのため、成功しているチームはごくシンプルなしくみをつくっています。
たとえば、「すべてのミーティングで必ず全員が発言する」というようなルールです。
ゴミを拾う
ゴミ拾いをするリーダーは、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)のバスケットボールチームの伝説的ヘッドコーチのジョン・ウッデンはチームのロッカールームでごみを拾っていることは知られています。
マクドナルド創業者のレイ・クロックもごみ拾いをすることで有名。
多くの最強のスポーツチームのリーダーは、自らロッカールームの掃除という地味な仕事を選手にして見せることで、チームワークと勤勉さという価値観をチームに植え付けています。
楽しむ
人が笑うのは、心から安心し、仲間とのつながりを信じている証拠です。
2.弱さを共有する
ハーバード大学で組織行動学を研究するチームでは、弱さをチームの誰かが開示した瞬間、実はチーム全体がリラックスした雰囲気になることに気づきました。
「自分には弱点があり、助けが必要だ」というメッセージが当たり前の態度になれば、互いに信頼し協力して働くことができます。
特にリーダーが自分の弱さを隠すと、他のチームメンバーもそうなることがわかっており、どんなに小さなタスクでも不安を生むきっかけになると言います。
弱さを開示した相手よりも受け取り手の態度も重要です。
受け取り手が、自分も開示するのか、それとも隠すのかによって、結果は大きく違ってきます。
それでも、「このチームは強がらなくていいんだ」という安心が、思いやりと助け合いの精神を生みます。
弱さのループが持つ伝染性
自分の弱さを感じると、人はむしろ他人に対して協力的になることがわかっています。ある実験で、冷たい(態度をするようはじめから仕組まれている)聴衆の前でスピーチをさせる経験を被験者にさせました。
そうした経験をした人は、他の人のスピーチを聞くときどんな態度になると思いますか?
非協力的になりそうですが、他の人のスピーチへの協力度は50%も上昇したそうです。
ちなみに、その逆に自分の力が増したような経験をした人は、他人への協力度が激減することが分かっています。
ノースイースタン大学の研究では、パソコンで長い時間細かい作業をチームでしてもらう実験をしました。
この作業は完成間近になると、ソフトウェアがクラッシュするようプログラムされています。
誰かのソフトがクラッシュすると、参加者の一人(実は参加者のふりをした研究者)がその人のところにやってきて、親身になって一緒に問題を解決しようとしてくれます。
そして次に、チームで信頼度を試す実験を行います。助けられた参加者は、人に対してかなり協力的な態度をとるようになりますが、おもしろいことに、助けてくれた人でなくても、協力し合うようになるのです。
弱さのループから生まれる信頼感や親密さは、たまたま同じ部屋にいた人にまで広がります。
信頼は最初にあるのではなく、先に弱さが存在し、そこから信頼が始まるのです。
協力関係のしくみ
ちょっとしたやりとりから、上記の弱さのループは始まります。
たとえばあるプロバスケットボールの監督は、シーズン最初のスピーチで、「久しぶりなのでとても緊張している」と言います。
すると選手たちも、監督に共感するように笑顔になります。彼らも緊張していたからです。
アップルのスティーブ・ジョブズは自信満々のリーダーというイメージがあります。
それでも自分のアイデアを出すときによく「バカなアイデアと思うが」という言葉を頭につけていたと言います。
いろいろな弱さのループの作り方はありますが、基本的パターンは同じ。
自分の限界を認め、メンバーの力を借りなければ目的を達成できないことを深く理解しているのです。
リーダーは弱さを何回も見せる
弱さを見せる小さな瞬間を何度も積み重ねることで、チーム内に協力関係が生まれます。
特にいちばん影響があるのが、リーダーが弱さを見せる瞬間です。
総額10億ドル以上の価値を持つレストラングループを経営するダニエル・マイヤーもそれができる一人です。
著者が訪ねる前の夜、マイヤーは生まれて初めてTEDに出演しました。
その朝のスタッフミーティングで、まずマイヤーのTEDのビデオを観ることから始まりました。
「私の足は緊張でがちがちで、木の葉のように震えていた。これまでスピーチは何度もしているけれど、TEDは特別だ」と緊張していたことを正直に話しました。
そして、
「チップ、ハリー、ありがとう。スピーチが無事終わったのはすべて彼らのおかげだ。素晴らしい台本を書いてくれた」と感謝を述べました。
そして誰もがチップとハリーを見て、拍手が沸き起こります。
マイヤーはそのようすを満足そうに見つめていたそうです。
価値のあることを言いたい、という衝動を抑える
弱さを見せられる環境をつくるうえでは、「何を言うか」より「何を言わないか」がカギになることが多くあります。
聞き上手な人は、自分の経験から答えになることをあえて言わず黙っています。
主役は自分ではないことを知っているのです。
もちろんアドバイスを示してよい場面もあります。
それは、信頼に裏打ちされた協力関係が出来上がっていることが絶対条件です。
3.共通の目標を持つ
成功しているチームには共通点があります。
それは、危機のときに生まれたということです。
ピクサーの危機は、1998年、大ヒット作「トイストーリー」の続編を作ろうとしたときに訪れました。
続篇は劇場で公開せず、ビデオ販売のみする予定でした。
しかし、初期バージョンは最悪。盛り上がりのないストーリー、まるで感情移入できないキャラクター。
オリジナルの輝きが失われてしまっていました。
キャットマルとラセターは、これはピクサーの根幹にかかわる問題だと気づきました。
ピクサーは、平凡で満足する会社なのか、それともつねに最高を目指すのか?
彼らは初期バージョンを廃棄し、最初から作り直し、しかも劇場公開の長編をつくることにしました。
この決断はピクサーのアイデンティティを救うこととなりました。そのときの経験から、ブレイントラストなどのチームで働くシステムも生まれています。
価値や目標を共有するのに必要なこと
どのチームにも失敗はあります。
成功するチームの違いは、失敗を活かして、自分たちの目標や価値価値観をより明確にしていることころです。
失敗を見直すのは辛い作業ですが、そうやってチームは進化し、めまぐるしく変化する世界が投げつけてくる問題も解決できるようになります。
それを実現する具体策は次の通り。
優先順位をはっきりさせる
リーダーはえてして、部下たちに自分の気持ちは通じていると考えがちですが、実はまったく通じていません。
つまり、チームの優先順位をメンバーにしっておいてもらいたいなら、しつこいぐらいに伝えなければならないということです。
そして、ふだんからチームの価値や目標について会話を重ね、「われわれは何者か?」「われわれはどこに向かっているのか?」という大きな質問ができるような環境をつくる必要があります。
キャッチフレーズを活用する
当たり前できれいごとに見えるキャッチフレーズで、自己満足に見えて嫌う人も多いですが、大切なものです。
「すごく楽しく、ちょっと変わってる」(ザッポス)
「言葉は少なく、行動は多く」(IDEO)
「勉強を頑張り、友達に優しくする」(KIPP)
「岩を叩け」(サンアントニオ・スパーズ)
「よりよい場所にジャージを残せ」(オールブラックス)
「ゲストのために盛り上げる」(ダニー・マイヤーのレストラン)
自分の在り方を反省しました。
賢いメンバーと働けるチームであるがゆえに、私は弱さを隠していました。
だから、メンバー同士が今一歩歩み寄れていないのかもしれません。
そこで、チームのメンバーで一番若い人にその人を必要としていることを伝えたり、「ありがとう」の数を増やしたり、自分の不得意分野を正直に伝えたりするようにしてみました。
ちょっとチームが良くなった気がします。
アメリカ人が書いた本なだけに、もっとドライな感情抜きの話だと思ったのですが、非言語コミュニケーションや相手の気持ちを考えて黙るなど、けっこう日本人的な話でびっくりしました。
グーグルやシールズの話も盛り込まれて、とても引き込まれる本でした。
良かったら手に取ってみていただけたら嬉しいです。
今週もお疲れさまでした。
ゆっくり休んでくださいね。
では、また。