猫のメメとモエ

生命線があと10年分しかない!どうせなら、やりたいことに(あまりお金をかけずに)ちょっかいを出すことにした猫好きのブログ。メンタルトレーニング、自己啓発、一人旅、猫めぐり、山歩き、真剣な子育て、ジョギング、写真。その他いろいろ。

『ぼくたちは習慣で、できている』佐々木典士

『ぼくたちに、もうモノは必要ない』の著者であり、「習慣」についての多数の本を書いてきた著者。

今回は『もうモノは・・・』のミニマリストとしての話ではなく、「習慣づけ」のスペシャリストとして、実践しやすく、生活の中で着目すべき点をわかりやすく書いています。

習慣を身につけるためには、さまざまなアプローチの仕方がありますが、それを50のステップと、加えて著者ならではのさまざまな具体的なエピソードが満載。

そのなかでもワタシがより実践してみたいと思ったものをいくつか一緒に読んでもらえたらと思います。

習慣の3つの要素

習慣は3つの要素で成り立っています。

1つめは「トリガー」。

きっかけです。

2つめは「ルーチン」。

トリガーによって引き起こされる決まった行動。

3つめは「報酬」。

この一連の行動を脳が保存するか判断する材料になります。

90年代にMITで行われた有名なラットの実験があります。

ラットにクリック音がしたとき、目の前の道を左に進むとチョコレートを手に入れられる、と経験させます。

初めは甘い匂いにあちこち探し回るラットですが、繰り返すうちにカチッとクリック音がしただけで、左の道を選べるようになりました。

 

トリガーはクリック音。

ルーチンは、左に進む行動。

報酬がチョコレートです。

 

人間も同じようにこれで行動が強化されるわけです。

が、このいわゆる「報酬系」の回路システム。

脳の中でもとても古い回路であり、人間もラットもほとんど変わりません。

行えば行うほど強化される構造なのです。

 

短時間のセミナーで「意識がかわった!」なんて思ったりするものですが、あのような淡いものでありません。強烈です。

繰り返し行われることで、実際に脳の神経細胞を書き換えることなのです。

天才を作った小さなトリガー

山口真由さんは東大法学部を首席で卒業し、財務省の官僚を経て弁護士になり、ハーバード大学ロースクールをオールAで終了し、ニューヨーク州の弁護士資格も取得して、現在法律の大学教授を目指しているといいます。

このすさまじい経歴から、どう考えても天才としか思えませんが、本人はそれを否定しています。

山口さんの勉強は、「机を見る」ことから始まりました。

山口さんが子供のころから習慣にしていること。

それはまず、起床すると窓のカーテンを開けて太陽の光を浴びることから始まります。

次の瞬間、視線を机に移す。

椅子に座ってなんの本でもいいから読み、母親の「朝ご飯よ」と呼ぶまでの10分間を机の前ですごす。

 

これで机に座るということに1日抵抗がなくなるそうです。

学校から帰ってきておやつを食べると、また、「机を見る」ことを起点に勉強を始めます。

高校でも、ロースクールでも、朝日を浴びたらまず机を見る。

小さなトリガーから始める習慣で、天才は作られたのです。

 

やめたい習慣のトリガー

習慣でやっかいなのは、やめたい習慣もまったく同じ仕組みで働いているということです。

著者はお酒を控えようとしていましたが、なかなかそれを抑えることができませんでした。

実はお酒には「トリガー」となる相棒がたくさんありました。

大好きな天ぷらそばを頼むと、反射的に瓶ビールを頼んでしまったり。

餃子や唐揚げなどの油の多いものも同じでした。

 

チャールズ・デュヒックは、トリガーを次の5種類にまとめています。

あなたの「やめたい習慣」のトリガーは、何なのか一緒に分析してみませんか?

ワタシのやめたい習慣である「夕方の大量のおやつ」は、トリガーがいっぱいです!

 

・場所(帰り道のコンビニ、職場の給湯室)

・時間(仕事が終わった後、ひと段落した瞬間)

・心理状態(残業のストレス、ミスして落ち込んだ、早く終わらせて帰りたい焦り)

・自分以外の人物(お菓子の交換会をする同僚)

・直前の行動(ノンストップで作業した、個室での作業に移った)

 

やめたい習慣があるとき、これらを特定することで、どうしたらいいか見えてきます。

ワタシの場合は、夕方に個室で仕事をせず人の目がある場所で作業をさっさと終わらせることで、おやつの誘惑が減ることがわかりました。

 

ルーチンが心を調律する

ルーチンのよいところは、いつもの行動をとることから気分を変えることができるということです。

たとえば村上春樹さんは、誰か知らない人から誹謗中傷されて気分が落ちた時、毎日の日課にしている1時間のジョギングの距離を少し長く伸ばすそうです。

著者も気持ちが落ちた時、毎日のジョギングの距離を伸ばすそうです。

そうすることで確実に「気分」を変えられるからだそうです。

ネガティブな感情が払拭され、意志力が回復するそうです。

 

イチロー選手もはしんどいときの乗り越え方として、「日々やっていることと同じようにやること」を大切にしているそうです。

 

悪循環を断ち切る

不安や自己否定間といったネガティブな感情を持つと、意志力は失われてしまいます。

そうすると、脳は本能的な行動をとります。

目の前の報酬に飛びつこうとするのです。

結果、暴飲暴食をしてしまったり、やる気を失いだらだらとスマホを見てしまったりします。

そしてその行動を後悔し、またストレスがたまる・・・。

さらに、そういったストレスが長期間たまると、本能的な行動を抑え込むべき認知機能が衰えてしまうといいます。

使わない機能だから、衰えるのです。

 

それにより恐ろしいことに、「学習性無力感」に陥っていきます。

「学習性無力感」とは、こんな実験で見つかりました。

回避できない電気ショックを受け続けた犬。

この犬たちは、電気ショックをジャンプして回避できるようになった後でも、それを甘んじて受け続けてしまうようになるそうです。

「自分は何をやっても無駄だ」と学習してしまうからです。

 

残念ながら、こんなひどい悪循環の仕組みがあるのです。

好ましい習慣を身につけるには、意識してどこかで悪習慣を断ち切らなければなりません。

それがストレス解消のために必須と考えてしまう

よくある誤解は、暴飲暴食などがストレス解消に必須だと思い込んでいるパターン。

ワタシです!!

仕事や家事でストレスがあるのは、仕方ないこと。

しかし、そのせいで暴飲暴食に走ると、後でもっと後悔してストレスが増える、ということが本当に一番の大問題に発展しています。

これを解決するには、まず仕事や家事でストレスがあることと、暴飲暴食は別であるとしっかり分けて考えること。

 

『星の王子様』に出てくる酔っ払いが言っている言葉があります。

「お酒を飲んでいるのが恥ずかしくて、それを忘れたいから飲んでいるんだよ」。

人は、お金がない、という不安を感じた時、その不安を解消したくて消費行動に走りやすくなるそうです。

不安が生まれると、その不安を生み出す行動をとってしまうようにできています。

 

「気分転換のためのなにかは、自分がさらに嫌になる何かであってはいけない」

という作家グレチェン・ルービンの言葉があります。

 

まず、やめることを決める

なんの習慣をやめるかを決めることは、結構難しいことです。

なぜなら、そこに「ストレス解消のために必要」と容易に思い込むことができるからです。

自分の子供に習慣にしてほしいかどうか?

「それを自分の子供に習慣にしてほしいか?」

これは、子供がいない著者であっても、客観的に自分の習慣を見つめなおすときの問いかけとしてとても有効だそうです。

ワタシも娘におやつを食べ過ぎて夕飯が入らない、なんて習慣はつけてほしくないです!

この視点を取り入れると、言い訳ができなくなりますね。

 

一番必要な時に手放す

カエルを2匹飲み込まねばならないときは、大きい方から飲み込むこと。

それと、あまり長い間見つめないことだ。・・・・・マーク・トウェイン

 

著者はお酒をやめたのが1月で、それはとても良いタイミングでした。

新年の目標としてすぐにブログで宣言しました。

そして、お正月のお酒の席や結婚式もありました。

つまり一番難易度の高い時期でした。

田舎に引っ越した、というのもよい時期でした。

コンビニや自動販売機が近くになく、移動手段が徒歩か自転車。

買いに行くこともできなかったのです。

 

ヘアワックスを使うのをやめると決めたのも、素敵な女性とのデートの日を初日にしました。

そんな場面でヘアワックスなしで済ませられたからこそ、そのあとの習慣化に成功したのです。

 

お酒も同じで、ある年齢からは女性との関係の始まりはいつもお酒だったので、デートには欠かせないものでした。

一番難しいその日を乗り越えられたので、日常の些細な欲求は無視できるようになりました。

 

著者のクライマックスは、断酒4か月後の『ぼくたちに、もうモノは必要ない』の英訳出版記念講演会。

ニューヨークという素敵な場所で、特別な人たちとのお祝い。

この場でもお酒を断ることができたので、断酒が完成したという実感ができました。

 

完全に断つ方が簡単

お酒を断つときに、「恋人といるときはOK」「旅行中はOK」「友人の結婚式はOK」「オーガニックの酒造と、お気に入りのビールだけは飲む」などなど、例外ルールを著者も考案してみました。

 

しかし、例外はどんどん増えていったそうです。

「もう、誰かといるときはOkでいいのでは」「今日は特別ということにしよう」という話になってしまいます。

ストイックや我慢では全然ない

例外をたくさんつくるのは、「お酒は楽しいもの」という認識があるから。

すると、お酒を飲めない日は「我慢の日」になってしまいます。

我慢は続きません。

我慢は、報酬がない状態。

報酬がないことを人は続けられません。

 

そこに禁止の言葉を使わない、というのも大事なポイントとなります。

「お酒を飲んではいけない」ではなく、「もうお酒を飲まなくてもいい」と考える。

 

お酒を飲むことにグレーゾーンを作らないことで、シナプスの「お酒を飲むと楽しい」の部分が細くなり、眠った状態になります。

著者はもはやビールを飲んだ時の爽快感や酩酊の気持ちよさがうまく思い出せないそうです。

しかし、小学生がお酒を飲まなくても毎日が幸せなように、ほかにもたくさんの幸せはあるものです。

 

習慣のトリガー&報酬を洗い出す

『習慣の力』の著者チャールズ・デュヒックは、ある習慣をやめたいと思っていました。

仕事をしていて毎日午後になると、カフェに行ってチョコチップクッキーを買い、近くの同僚と世間話をして食べてしまう。

この習慣で何キログラムも太ってしまったのです。

 

これを止めるための一連の行動は次の通りでした。

トリガーをまず、次のように5つに分類しました。

・場所

・時間

・心理状態

・自分以外の人物

・直前の行動

数日間記録をとってみると、毎日15時くらいになると、クッキーを食べたくなるとわかりました。

その次にやったのが、何が本当の報酬か確かめること。

「仕事の気晴らし」「クッキーの糖分」「同僚とのつながり」の中でどれが必要なのか、ひとつずつ無くしてみて検討。

結局わかったことは、「仕事の気晴らしに、同僚と世間話をすること」でした。

そこで彼がとった行動は、15時にアラームをセットしそれをトリガーにしました。

アラームが鳴ると、同僚のところへ行き、世間話をするという習慣にしました。

チョコチップクッキーは、本当に必要な報酬ではなかったのです。

 

自分観察日記をつける

習慣の中で著者が特におすすめしているのが日記です。

日記は自分観察日記だからです。

習慣作りは一発でできないのが普通です。

そこで、失敗の記録が大切になります。

どんなシチュエーションで、どんなことを言い訳にしたのか、記録する。

そうしておけばそのうち似たシチュエーションに対応できるようになります。

 

「間違った選択した瞬間」を振り返ることが必要です。

自分がいつ習慣を達成するための決定をしたのか、あるいはどんなふうにうまい言い訳をつくり出したのか、記録で振り返ることができます。

日記のコツは事実を書くこと

日記には事実を書くことが大切です。

比喩と教訓に満ちたエッセイを書こうとする人も多くいます。

そうすると、大変になって続きません。

積み重ねてきた日記は、自分自身のためのカルテになります。

 

やる気はやる前には出ない

問題は、やる気が出ないことではない。

やる気を出す必要があると思い込むことである・・・・オリバー・パークマン

 

問題は、「やる気」というものが、待っていれば自然とどこかから湧いてくるという思い込みです。

これが問題。

何事もやり始めることで、脳の側坐核が活性化してやる気が出ることが、脳科学でもわかっています。

このプロセスは「作業興奮」と呼ばれるものです。

 

とにかくハードルを下げる

徹底的にハードルを下げる。

それがやる気を出すために「まず始める」ために必要なことです。

車輪も動き始めるときに一番エネルギーを必要とするように、スタートのときが一番大変ですよね。

だから邪魔なものは、できるだけ取り除いておくことが必要です。

やめたい習慣のハードルの低さに学ぶ

やめたい習慣たちは、恐ろしく低いハードルを持っていることが多いものです。

お酒はコンビニでも買えるし、コップを傾ければ飲めます。

煙草は小さくて軽く、火をつけたら呼吸するだけで吸えます。

スマホはポケットから取り出すだけでいい。

 

それを逆手にとって、作家さんの中にはソファに寝転んでスマホの口述筆記で本を書いたりする人もいるそうです。

ハードルの低さを仕事に活かしているのです。

下げるハードルは3種類

下げるハードルはいろいろあります。

「時間と距離」「手間」「心理」。

ワタシは、家の掃除が苦手でした。

床掃除のクイックルワイパーを何本も用意し、いろんな部屋においてもなかなかできませんでした。

しかし、「使ったら必ずクイックルワイパーにシートをかぶせておく」ことを習慣にしたら、毎日できるようになり、床もすっきり。

もちろん、子育てが終わってきたから体力と時間に余裕ができた、というのも大きいのですが。

始める場面でのハードルが「手に持って」「床を滑らせるだけ」という低さになることで、習慣化できました。

 

毎日やるほうが簡単

人は「週1回走る」と「毎日走る」だと、「週1回」の方がラクに習慣化すると考えがちです。

しかし、

「毎日走る」ことが決まっていれば、「今日すべきかどうか」を悩むことも決断することもなくなるのです。

そうして毎日することで、したくないことでなく、進んで自然としたいことに変化していきます。

 

下げていいのは、難易度であって頻度ではない、と著者は言います。

毎日やらないと、無意識にならないのです。

 

トリガーを仕掛ける

新たな習慣を追加するときに有効なのは、すでに行っている習慣を「トリガー」にすることです。

著者の友人は、毎日ドライヤーをかけるときにスクワットをしています。

著者がモノを手放すときにおすすめなのは、歯磨きをしながら行うこと。

歯磨きは片手が開いていますからね。

3分間でいいので、部屋を歩き回るいらないものを見つけるのだそうです。

自分への手紙を書く

朝起きていちばんにすることを、昨晩のうちに用意しておく。

冬なら起きる時間に起きやすいように、暖房をタイマーでセットしておく。

ジムへ行った音はお腹がすいてヘロヘロになっているので、帰ったらすぐ飲めるようにプロテインを作っておく。

少し踏ん張りが必要な自分のために、先回りして用意してあげるのです。

それは、「今日もやろうね」「おつかれさま」という感覚。

少し余裕のある自分が、自分に対して手紙を書くような感覚だそうです。

 

第3者の目線で考える

俺はいいよ、でもYAZAWAが、なんていうかな?・・・矢沢永吉

 

自分というのは、決して一人の人格ではありません。

脳には本能的なホットシステムと理性的なクールシステムがあり、一方が活性化すると、もう一方が不活性化します。

矢沢永吉さんのように、2つの自分に名前をつけてみるのもいいかもしれません。

ほかにも、「宣言する」「必要な休みは全力でとる」「積極的な行動で休む」「目の前の目標だけ見る」などがありました。

 

年齢を重ねるごとに習慣の力の絶大さを感じます。

体力が落ちてきても、習慣にしていればきちんとできるからです・・・。

 

今週もおつかれさま。

ゆっくり休んでくださいね。

では、また。