チームをつくるときに、まとまりを作りにくかったり、結果を出しにくかったりすることってありません?
ワタシはあります。
別に、若い人だけのチームではないのです。
どちらかというと、ベテランぞろいにもかかわらず。
しかも、モチベーションが低い人たちではないはずなのに。
初心に返るために、本書を読みました。
大事なのは、「ねぎらい」
本書で見つけたのは、「心の報酬が足りなかった」ということ。
心の報酬は、ただ「褒める」ことではありません。
「心」が満ちてこそ、「この会社のためにがんばろう」と、人は思うのです。
そして、この「心」を満たす「心の報酬」は2種類あります。
ひとつめの報酬は、「成長の実感」。
ふたつめの報酬は、「貢献の実感」です。
確かに、このふたつがこの夏のプロジェクトで足りなかったものでした。
人は「成長を実感する」ことに飢えています。
また、東日本大震災を契機として、「貢献欲求が高い」若者もとても増えています。
ただ、これらを日常で感じることはなかなか機会がないもの。
そこでチームリーダーが小さな報酬としてすぐ実践可能なものがあります。
それは「ねぎらい」です。
「ほめる」は、なにか良いことをしたちき、基準を超えた時に伝えるという印象があります。
ところが、「ねぎらい」は、やって当たり前のことに対する、気づきや共感、感謝を伝えることなので、いつでも相手に伝えることができます。
どの組織にも今不足しているもの
著者のセミナーに参加するチームリーダーや中間管理職の人たちに聞いた反応でも、その参加者の人たちも上司やお客様からの「心の報酬」をもっと欲しいと思っていることがわかっています。
お金ではない報酬こそが、本当に人を動かしていることが実生活ではほとんどです。
「契約を取ってきたとき、一緒に喜んでくれた」
「チャレンジしているところを見ていてくれている」
「自分の気づかないところをほめてくれた」
こうした心の報酬を多くの組織で渡していない。
これが多くの組織で起きていることで、需要に対し、供給が圧倒的に足りていないのが、「心の報酬」です。
ちなみにワタシのチームでも、本当に足りていませんでした!!反省!
リーダーはチームの現状に不満を持つのも役割のひとつ
実は現場のリーダーは心の報酬を与えるのが難しくなる理由があります。
まず、リーダーはつねに「どうすれば、いまよりもっとよくなるか」を考え続けるのが役割です。
不満を探し続け、それが怒りになるほどの強い感情やエネルギーが、改善策を実行させ、完成や成果につなげることができます。
しかし、その怒りをそのままチームのメンバーにぶつけては周囲はついてきません。
(はい、ワタシがやらかしてしまったことです。ごめんよ、みんな!)
怒りのエネルギーを抑え、別のところに意識を持つ。
現場への不満を別の伝え方にすることで解消し、結果につなげる。
それが今日求められているリーダーのありかたであると著者は言います。
「ダメ出し」は人間の本能
現状に不満を抱くのは、リーダーに限ったことではありません。
そもそも人間は「ダメな部分を探してしまう本能」「ダメ出しをしてしまう本能」を持っているのです。
それは危険を回避するための生存本能の一種です。
ほめるのが怖い理由
「ほめて調子に乗ったらどうするんですか」
と反応する人が、少なくありません。
これは著者に言わせると
「お化けが怖い」
と同じだそうです。
お化けが怖くて、暗闇を歩きたがらない人も、どれだけたくさんいるでしょうか。
でも、暗闇で本当にお化けに出会った人は、どれくらいいるでしょう?
ほめるのを怖がっている心理は、
「ほめて、良い結果がでなかったらどうしよう?」
と失敗を恐れる気持ちです。
よりところを見つけるのは難しい
「ダメ出し」が本能なのが人間。
しかもリーダーとなると、そのチームを向上させるために「改善点は!?」という目で見てしまうもの。
でもそれでも「よい点がある」と思って探せば、必ず効果が出てきます。
ほめて、信じて、「ダメバイト」が最優秀アルバイトに
著者が「心の報酬」を渡すことで、みんなにやる気が生まれ、チーム力が高まることに気づいた事例があります。
ある焼鳥居酒屋チェーンで、「覆面調査」の依頼がありました。
以前著者は「覆面調査」の依頼で失敗した経験がありました。
自動車ディーラーの調査を依頼され、「悪いところがあったら、教えてくれ」と言われたので、大量のダメ出しを報告書にして提出したところ、あまりのダメ出しぶりにそのディーラーから二度と依頼が来なくなりました。
その反省から、ほめる報告内容を作ると決めていました。
懸命にほめる箇所を探していると、一人のアルバイトスタッフに気づきました。
お客様が帰ったあと、テーブルを一生懸命拭いている。
お客様が立つと、「忘れ物なし!OK!」ときちんと確認する。
忘れ物があればすぐに、「忘れ物の傘です」と走って持っていく。
「彼女は人のいないところでも、ものすごく丁寧な仕事をしています。
改善点はたくさんありますが、彼女のようなアルバイトがいるこのお店の、今後の成長が楽しみです」
というような内容。
店長はこの報告書をバックヤードに貼りました。
彼女は自分がほめられていることを知り、帰るたびに穴が開くほど報告書を眺めていたそうです。
じつは彼女、仕事は丁寧だけれど遅く、ミスも多く、覚えるのも遅い、とかなり評価が低いスタッフでした。
夜八時までのゆっくりした時間帯はよくても、忙しくなるととたんにミスが増えるのです。
薄利多売のお店でしたので、ちょっとした失敗やオーダーミスでも、大変な損失になります。
だから店長からは、「もうこの子は辞めてもらわないと」と思われていました。
ところが、報告書を見つめる姿を見た店長は彼女を呼び出し、こう言いました。
「君の丁寧さをこの店の基準にしたい。だから仕事が遅くても、ミスしてもいいから、この仕事の丁寧さだけは絶対失うな」。
それから1か月、2か月、3か月たち、彼女は仕事が丁寧なまま、スピードも上がり、ミスも減り、成長していきました。
人一倍苦労したから、新人への教育も非常にうまく、
「わかるわかる、これ覚えにくいよね。こうやって覚えるといいよ」
「これ失敗するよね。こうやったら大丈夫だよ」
と共感しながら丁寧に教えていくのです。
仕事が丁寧だし、スピードも速くなった。
教えるのもうまい。
そんな彼女は報告書を出した3か月後、当時のグループ6店舗130人中いたアルバイトの中で、最優秀アルバイトに選ばれました。
さらにその3か月後には、そのお店の売り上げが昨年比161%になったのです。
叱られても「見守ってくれている」と感じるスタッフたち
彼女の成長を見て店長も気づいたそうです。
いままで彼女のような仕事が遅かったりミスが多いアルバイトは、「できない」と決めつけて辞めさせていました。
でもそれは自分たちの思い込みで、今できているところを認め、アドバイスをして信じてあげる。
それによって人は、驚くほど成長するのです。
しかも「できない」と思っていたアルバイトや社員が成長すると、それを目の当たりにした上司や先輩も大きく成長します。
自分の中にあった、思い込みの枠が外れるからです。
以後、その店を含めたグループ6店舗全店で2年間、人材募集は不要になりました。
アルバイトが後輩を読んでくる、お客様がアルバイトになる、アルバイトが社員になる、そんな循環が生まれたからです。
こういう人間関係をはぐくんでいきたい。
見方を変えていこうと思います。
おつかれさまでした。
ゆっくり休んでくださいね。
では、また。