猫のメメとモエ

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神経科学的「やる気スイッチ」の作り方~『BRAIN DRIVEN』青砥瑞人

脳・神経科学の視点から「モチベーション」「ストレス」「クリエイティビティ」について語っています。

もしも私たちが、モチベーションに困ったとき、どう行動していったらよいのかについて詳しく書かれています。

具体策がモチベーションで11、ストレスで10、クリエイティビティで16もあります。

 

かなり面白いし、読み応えのあります。

 

今回は、モチベーションについて、本書の中でも実践しやすいトピックを数個取り上げています。

 

あなたにとってひとつでも、モチベーションアップに役に立てるものがあったら、嬉しいです。

 

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「自分を高める」ために必要なのは「メタ認知

モチベーションに深く関係する用語として、「メタ認知」があります。

メタ認知は、「自分自身を客観視、俯瞰」した認知の状態です。

あなた自身のことを主観的に捉えるだけでなく、客観的に捉えてみよう、一面的に捉えるだけでなく、俯瞰的に捉えてみようというのがメタ認知です。

 

人間がある行動を起こす前には、大きく分けて2つの脳のシステムの情報を参照しています。

ひとつは思考系、もうひとつは感情系というシステムです。

いままでは思考系と行動系はさまざまな研究がされてきましたが、感情系は手つかずのブラックボックスでした。

 

しかし、人間の行動と思考を理解するには、密接に関連する感情を理解することなしには難しいのです。

何かを極める人は、必ず自己と向き合い、自己についての考察を深いレベルで行い、感情や感覚をとらえています。

「自分が何をどう感じて、どのように打てているかを説明できたとき、超一流の仲間入りができた」

イチローさんの言葉だそうです。

単に「どう打てているのか」と振り返るだけでなく、「どのように感じているのか」という感覚や感情にも目を向けているのです。

 

メタ認知の大切さ

まずはあなた自身のモチベーションに注目してみましょう。

何に対してモチベーションが上がるのか、モチベーションが上がったときの状態をよく観察しましょう。

他人のモチベーションの上がり方は、所詮他人のやり方でしかありません。

あなた自身のモチベーションをよく見守ったうえで、他人のモチベーションは「ヒント」くらいに考えた方が良いそうです。

 

経験の違いがモチベーションの多様性を生みます。

互いの在り方を受け入れて楽しむこと。

他人のモチベーションに合わせようとするのではなく、自分のモチベーションを自分で発見することが大事だと著者は書いています。

モチベーションを高めるには生活リズムから

マズローの欲求段5階説の上下関係が必ずしも当たらない、としながらも、本著ではおおよそこの説をもとにした「神経科学的欲求5段階説」として説明しています。

 

まずは下位にある、体調、コンディションに関わる、健康、睡眠、生活リズム。

これらは、あなたも生活の中で気づいている通り、モチベーションに関わります。

高次機能系の記憶処理や学習系の記憶定着系の働きの土台になるのです。

 

特に生活リズムの面で強くモチベーションに影響するのが、「セロトニン」。

朝太陽の光を受けて合成を開始し、最大値を記録すると、昼、夕方、夜に向けて低下していきます。減少するプロセスの中で分子構造を変えて、徐々に「メラトニン」という神経伝達物質が増えていきます。

つまり、朝のセロトニン量が多いと、比例して夜のメラトニン量が多くなり、夜の良い睡眠に繋がります。

セロトニンが脳内に一定以上ある状態は、脳に落ち着きを与えます。

夕方になると落ち着きが無くなったり、イライラしやすくなると感じたことは無いですか?ワタシはあります。

それはセロトニンメラトニンに変換され、十分なセロトニンが脳に行き届いていないことが一因の可能性があります。

つまり、セロトニンはストレスにも関与しています。

 

ボトムアップのモチベーションを転用する

,モチベーションは、2つがあります。

ひとつは、無意識である「お腹が空いた」「眠い」などのことから誘引される、欲求段階説で言うと下位の欲求から上がってくるボトムアップ型のもの。

一方で意識的である「あれを考えてみよう」「この勉強をしよう」という高次の欲求から降りてくるトップダウン型のもの。

あなたに強く作用するのは、どちらでしょうか?

一般的にはボトムアップ型ですね。

 

これをうまく利用するやり方が、最近考えられるようになりました。

ボトムアップ型の栄養をトップダウンのモチベーションに転用するのです。

空腹のドーパミンを勉強に誘導

では、実際方法まではしょって読みますよ。

ボトムアップ型の栄養をトップダウン型に持っていく方法です。

 

著者の場合は、大好きなコーヒーを使います。

大好きなコーヒーが目の前にあるのに、見るだけで飲まない。(!?)

そこで出る「コーヒー飲みたい」のドーパミンを最大値にします。

そのドーパミンを使って、やりたい仕事に集中する力に転用するそうです。

 

この方法を実践するポイントは、

①まず「飲みたいけど飲んでない」状態に「気づく」こと。

②次にその「飲みたい」状態にあるボトムアップのモチベーションを、どこに活用したいのか意識的に誘導します。この「注意のシフト」をトップダウンで指令する。

つまり、あなたが別の理由(お昼を食べたいとか、コーヒー飲みたいとか)で最大化したドーパミンに気づいたときに、あなたが今やりたい仕事に意識を向けることで、転用するのです。

ドーパミンが出ている状態は変わらないので、うまくいけばドーパミンの効能をやりたい仕事に活用できます。

 

少し空腹感があるときのほうが、仕事や勉強の効率が高い感覚をあなたも感じたことがあるのではないでしょうか?

ドーパミン前頭前皮質に作用し、集中力を高めるからです。

空腹状態のドーパミン性を、あなたの意図した対象にうまくシフトできたなら、集中力の高まりが期待できます。

 

体操競技内村航平選手は、1日1食しか食べないそうです。あまり食べない方が集中できるといいます。そういうアスリートも多くいますが、これはそうした理にかなっているのです。

 

ただ、注意のシフトをするのに慣れないうちは、単に強いボトムアップのモチベーションが優先され、注意力が分散します。

そこで、例えばまずはお昼休み直前のお腹が空いた状態を認識したら、これはチャンスと考え、残り10分だけでも集中してみることを著者は勧めています。

空腹を感じたときのドーパミンを少しずつ活用することから始めるのが良いそうです。

きっとあなたは、その10分間に高い集中力を感じることができるはずです。

 

やる気スイッチ「モチベーショントリガー」をつくる

トップダウンのモチベーションを誘導しやすくするもうひとつの方法が、「モチベーショントリガー」です。

あなたにも、お気に入りの名言や、本や漫画の一節、ドラマやアニメのゾクゾクするようなシーンがあると思います。

あるいは、お気に入りの音楽でもいいのです。

実際に見聞きしたり、脳内でそのお気に入りの言葉をつぶやいたり、映像を頭に思い描いたりすることで、あなたのモチベーションは上がっていくでしょう。

 

もちろん、アニメや漫画は誘惑が強いため、注意が分散されては効果がありません。

お気に入りを実際に見聞きしたり、頭で想起した後に、その効果を注意のシフトで活用するのが肝心です。

こうしたモチベーションを上げる要素のことを「モチベータ」と言います。

実際にあなたが高揚する刺激であることが大事なので、アニメや漫画以外の題材でも、あなた自身の経験でも構いません。

まずは、あなたのモチベータを探すことが重要です。

メタ認知の話であったとおり、あなた自身の感覚と感情を大切にし、あなたが高まるものを発見することが重要です。

身体的動作を関連づける

モチベータと関連付けて、身体的動作を導入すると、さらにモチベータは高まりやすくなります。

モチベータを想像したり聞いたりするときに自分ならではの「作法」(ルーティン)をつくるのです。

その作法は身体的な動きを指し、「独特だが、簡単」が合言葉。

元メジャーリーガーのイチロー選手が打席に立つときの動き、ラグビー五郎丸歩選手がプレースキックをける前の動きの独自性にヒントがあります。

 

あまり複雑にすると習得に時間がかかるので、「胸に手を当てて目を閉じて5秒数える」くらいの簡単なものだと最初は取り組みやすいそうです。

とはいえ、簡単な作法であっても、一朝一夕には習得できるものではありません。

まずは、あなたが高まる言葉や場面、音楽を特定します。そしてそれを実際に見聞きしたり、脳で想起します。

さらに、実際に自己の高揚感を脳で表現します。

その時に自分ならではの独特な作法を創造し、脳の中で関連付けることが重要です。

モチベータ、高揚感、独特な作法を「同時に」脳内で繰り返し表現し、脳にその結びつきを学習させるのです。

 

新しいものに挑戦するモチベーションを維持する

新しい学びには、理想と現実の乖離、自己の至らない点ばかりが浮き彫りにされます。

脳内では、ストレスが増大し、ネガティブな情動反応が引き起こされてしまうそうです。

 

ということは、単にドーパミンによって行動を起こすだけでは、そのまま行動や学びを止めてしまうこともあるのです。

新しい学びに挑戦したときには、自分のできないことや足りないことが際立つ可能性がもとから高いから、脳が拒絶するのです。

 

新しいことでも比較的好きな内容だったりすると、行動を開始する前に放出されていたドーパミン量が多いと、より困難に向かいやすく集中しやすくなります。

さらにそこで快の情報が得られるとβエンドルフィン量も増える可能性があります。

βエンドルフィンはノルアドレナリン分泌に伴うストレス状態を緩和する働きもあります。

さらにセロトニンの導入や副交感神経へ切り替えることで、学習モチベーションの状態は維持しやすくなります。

学習のスタートはドーパミンの量でモチベーションが維持されますが、ノルアドレナリンとの共生、副交感神経やセロトニンが作用して学びの効率化につながります。

 

しかし、もともと新しい学びに対して、ひとは回避したくなる傾向があります。

新しい学びを手に入れるとき、それが困難であればあるほどポジティブなフィードバックを得たり快の体験を味わうことは少なくなります。

その結果、うまくパフォーマンスが発揮できない、目の前の情報が理解できないなど、脳にとってはストレスフルな状態になる可能性が高くなります。

すると、脳はパフォーマンスを高めよう、集中力を高めようとしてノルアドレナリンを誘引します。

しかし、それでもうまくいかないと脳はストレスホルモンを誘引する可能性が高くなります。

 

それに、そもそも嫌々新しい学びを始めなければならない、という環境からスタートすることだって実際は多いですよね。

だからこそ、新しい学びや新しい試みを行う時に、いかにそれをポジティブな体験にするかがポイントになります。

 

新しい学びを始めるあなた自身も、そして周りの人も、新しい学びや挑戦に際して誰もが注目しやすいネガティブなサイドにばかり注意が向かないように気を付けることが、学習のモチベーションを維持するうえで重要です。

成人の学びはエネルギーを要するため、一定のストレスがかかります。

体得する知識、技能の難易度が高いほど、そのストレス値も高いのです。

しかし、ストレスの起点となるノルアドレナリン反応は、必ずしも悪いものではなく、注意や記憶定着率を高めてくれます。

ノルアドレナリン効果を軸にして、私たちの「学習モチベーション」は上がっていきます。

 

実は、新しい学びへのモチベーションは、普段からどれだけ新しいものと触れ合っているかも重要なポイントになります。

好きで始める学習のモチベーションには、ノルアドレナリンを大量に使うことに伴い、コルチゾールが出ます。コルチゾールが出ると失敗しやすくなります。この失敗をどのように認知するかが、学習モチベーションの状態に進んでいくうえで非常に重要なのだそうです。

 

失敗を失敗と気づかなかったり、失敗をないことにしてしまうことも多くあります。

しかし失敗を見つめないということは、成長へのポテンシャルに注意を向けられていないということです。

失敗の原因を素直に認識し、むしろ成長への栄養素と捉えるとき、ネガティブな情動反応をポジティブな感情に書き換えることになります。

このような認知的柔軟性の高い人が、ものごとを継続することができ、後日成長する人になれます。

 

新しいことをすれば失敗するのは当たり前。

脳の中に新しい学習や挑戦についての体験が蓄積されていなければ、うまくできないのは当然。

そこでコルチゾールを出しすぎてストレス反応に負けてしまうか、コルチゾールをきちんと整えて学習モチベーションにつながるのか、そこで大きく分かれるのだと著者は言います。

 

安心感があれば、挑戦できる

モチベーションを高める上での重要な観点として、「心理的安全状態」がキーワードになります。

今まで全くやったことのない分野に手を出すことは、自分の脳内に情報が無い状態。

結果、脳はその情報に回避的になったりします。

 

そこで大切なのは、まず目的やゴールを設定すること。

世の中でゴールを設定しなさいと言われるのは、目的やゴールがあることで、その曖昧性を回避して、心理的に安全な脳の状態に持っていきやすくなるからです。

当然、そこでドーパミンが誘発され、さらに前向きにモチベーションを支えてくれます。

 

また、曖昧無知な状態では不安や恐怖を感じやすい脳の特性を知ったうえで、いかにその状態を受け入れるかも大切です。

なぜならすべての場面でゴールが明確になるとは限らないからです。

曖昧さやカオスな状態も受け入れ、むしろ楽しめるマインドセットも新しい学びや挑戦には重要です。

 

無知の知」という言葉の通り、自分が無知であることを知っている、できないことを知っている、未熟であることを知っている、ということは強みになります。

自分自身に対して曖昧さがなくなるからです。

それを知っていることで、解決手段は模索されやすくなりますし、あなたの成長の機会をつくり出すことに繋がります。

 

心理的安全状態。これは、モチベーションが高まる大前提です。

 

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神経科学を利用した、脳の活用方法。

今週は自分で「やる気スイッチ」をひとつ作ってみたいと思います。

ワタシ自身も「発想力を高めるときのやる気スイッチ」をひとつ持っています。

新しいアイデアを思い浮かべたいときは、右斜め上を見ながら手をくるくる回すと、大概のアイデアは出てくるんです。

それを手も使って相手に表現しているうちに、構想が形になってきたりします。

(他の人から見ると、確かにかなり独特ですね)

 

あなたも、ここ一番の場面で胸に手を当てたり、「大丈夫」と自分につぶやいたりする「やる気スイッチ」を持っているのではないでしょうか?

 

ワタシは今回、この夏のうちに仕上げたい仕事があるので、「新しいことを始めるやる気スイッチ」を作りたいと思います。

 

そのために、「自分が好きなアニメや漫画や音楽」を思い出そうとしているのですが、その時々でけっこう違ってしまうので、「あれ、どれかな~?」と探しています。

さっさと見つけて、スイッチ作りたいデス。

そこに大切なのは、認知的柔軟性。

成長への栄養素だと捉える力ですね~。

ここ3年程、ルーティンで仕事をしちゃっているから、新しいことへの挑戦はなかなかスリルとサスペンスでいっぱいです。

それから、無知を認める柔軟性も身につけなくては!

 

とりあえず、ちょっとずつ頑張ります。

小さい目標をいっぱい立てて、ひとつずつ達成していきたいと思います。

 

 

脳内物質の説明について、相当乱暴に短くしました。

本書はそのあたりも、実に素人にもわかりやすく丁寧に書いているのが素晴らしいです。

このブログではよくわからなかったぞ、と思われたら是非とも一度書店で本書をご覧ください。

(ごめんなさい)

 

よい夏をお過ごしください。

では、また。

 

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