20年前、シリコンバレーの億万長者になりたての若き起業家であった著者。
しかし体重は140キロに達しようとしていました。
体の不健康さはもちろん、著者が困ったのは頭が集中できず、著者の言葉で言うなら、「バカ」になったこと。
そこで、30万ドルを投資して、自分の体とドクターたちの協力、そして自分の技術力を用いて自分の体を「ハック」していきました。
そこで得られた結果は、世間で言われる「健康の常識」とは少しずれた(しかし、最新の研究では肯定されている)事実でした。
著者はおかげで1日0.5キロずつ減量でき、前より元気になったうえ、パフォーマンス、回復力、集中力が驚異的にアップしました。
そこまでにいたるまで、著者は低炭水化物、低カロリーを実践し、ビーガン(純粋菜食主義)生食法にいたっては1年間を実践してきました。
それらの実践では体重を減らしながらも、エネルギーに、気分に、食欲に与える影響を、常にモニターしつづけました。
IQは「食べ物」しだいで変わっていく
あなたも、なんだか頭がさえわたる感覚を経験したことがあるのではないでしょうか?
ワタシもよくあるのですが、その理由があまりに膨大な食べ物、睡眠時間、環境の影響で頭がクリアになる日とそうでない日の違いが把握し切れていませんでした。
本書は、そこに切り込んでいきます。
著者曰く、あなたの選んだ食べ物は、IQやストレスレベル、病気の危険、パフォーマンス、廊下、そして意志力の基礎。
あなたは「あなたが食べるもの、そのもの」だからです。
さあ、一緒に常にハイパフォーマンスの状態で生きていく準備はできましたか?
あなたのパフォーマンスを下げるものの正体
著者は太っていたころ、朝起きたら手に全く力が入らない日がありました。
鏡を見ると腫れぼったく、恥ずかしいことに男ですが日ごとにおっぱいが大きくなっていました。
さらに、おっぱいは日によってカップサイズが変わったりする。
理由もわからないままほんの2~3日で体重が何キロも増減。
胴回りにはスペアタイヤほどの巨大なぜい肉がつくことさえありました。
そして、ちょっと歩くだけで足にまめができる、という症状もありました。
「もし何か手の力を弱らせる原因があるとしたら、ほかにどんな症状がある?」
著者は原因を調べていくうちに「炎症」であることがわかりました。
まめができるのは、慢性炎症の兆候でした。
頭がボーッとしている、言葉が出てこない、何か思い出すのに時間がかかる、、、これらの原因も炎症であることを見つけました。
そしてそれらをハックできたとき、著者はチベットのヒマラヤ山脈をトレッキングでき、頭の働きもよくなりました。
炎症はもともと、病原体やストレスから自ら治癒していこうとする、適切な組織回復のプロセスです。
しかし問題なのは、それが慢性化(何か月も何年もつづく)ことです。
加工食品のせいで脳がうまく働かない
炎症の要因になるもののひとつに、加工食品がありますね。
加工肉を大量に含んだ食事をする人の多くは、加工肉の中の反栄養素、栄養素外物質を継続的に摂取するため、腸にダメージを負います。
そのため体はそれを敵とみなし、炎症性の「サイトカーン」という微細なたんぱく質性因子を血中に放出します。
それは脳にも影響します。
脳は炎症を生じると不機嫌に、低パフォーマンスになり、自分でも望んでいなくても、あなたをバカのようにふるまわせます。
野菜がもっている「自然な毒」
加工食品の他にも、健康の王道とも言うべき野菜にも気をつけるべきことがあります。
もともと野菜は、動物から自分を守るために、さまざまな毒を持っているのです。
私たちに大切なのは、それらの防御システムを回避することです。
ナス科の植物であるトマト、ナス、ピーマン、ジャガイモの中にあるレクチンは、多くの人にとって敏感になる物質です。
幸い、ほとんどのレクチンは熱で破壊されるので、加熱することである程度あるいは完全に排除可能です。
生で食べると危険な野菜「シュウ酸」
シュウ酸は、植物が動物、昆虫、微生物、菌から身を守るために形成したもうひとつの反栄養素です。
ケール、スイスチャード、ホウレン草などの生の野菜や、黒コショウ、パセリ、ビート、チョコレート、たいていのナッツ、たいていのベリー、豆類に含まれます。
シュウ酸が血中のカルシウムと結合すると、筋肉痛が起こります。
腎臓で起これば腎結石の一因になります。
シュウ酸への感受性が高い人は、少量摂取するだけでお、口、目、耳、のどに炎症が生じます。
たくさん摂取すると、筋力低下、嘔吐、下痢に至ります。
著者がロービーガン(生でしか食べない絶対菜食主義者)だったころ、ケール、ブロッコリ、スイスチャードを生で大量に食べていて、シュウ酸による不調を経験していました。
が、このことを理解するまで説明がつきませんでした。
しかしこれらは、酸に漬けるか、ゆがいでその湯を捨てれば、シュウ酸を最小限にできます。
見えないカビが頭を鈍らせる
わたしたちがよく摂取してしまう反栄養素には、カビ毒(マイコトキシン)もあります。
見ええない状態でみんなが慢性的に摂取していますが、ダメージは蓄積しています。
カビの多い環境にいると、調子が悪くなることが多くありますよね。
著者は子供のころも大人になっても、そうとは知らずカビの生えた家に住んでいました。
そのため免疫系が普通の人よりも、環境や食事にふくまれるカビに敏感になっていました。
カビに対するアレルギーを持つ人は全人口の28%もいます。
著者は、イギリスへの出張中に、地下鉄のホームでじめっとした空気に気づきました。
それほどカビに敏感だったのです。
ホームの端について、乗車したときには二日酔いのような気分で、幻覚まで見えました。
その日の午後の仕事は散々でした。
さらにこの経験の直後には、猛烈に糖と脂肪が欲しくなりました。
脳が回復したと感じられるまでほぼ丸1日かかったそうです。
コーヒーでだるくなることがある理由
カビだらけの環境が認知パフォーマンスに影響を与えることは、わりと知られていること。
しかし食品系にもカビ毒があることが最近分かっています。
著者は大学の成績をアップさせるのに、コーヒーが有効だと気づいて以来、コーヒーを熱愛。
コンピューター・サイエンスを専攻していた著者は、朝8時からの微分積分が必修科目でした。
朝型とはおよそ反対だった著者は、授業前にトリプルのエスプレッソを飲むようにして、2年間で初めて唯一のAを取れました。
ほどなくして著者は最初の事業を起こしますが、これは期せずしてeコマース(電子商取引)の最初の例となりました。
だから、コーヒーが体質に合わないと気づいたとき、とても落ち込みました。
しかし、よくよく分析すると、飲んだらいったん士気が上がるものの、すぐに疲れて不機嫌になり、もっと飲みたくなる。
しじゅう飲む量を増やしていて、頭痛がするときもありました。
こんな症状をなくしたくて、5年間コーヒーを断ちました。
ある日、コーヒーの誘惑がものすごく強くて「一杯だけ」と飲んでみてびっくり。
電池切れなし、イライラもなし、頭痛もなし。
かつてのように、ひたすら集中力が増すだけでした。
コーヒーはもう自分には問題なさそうだな、と大喜びでした。
そして、その翌日に起こったことが、本書が生まれたきっかけのひとつとなります。
コーヒーをまた飲んだら、今度は不安と不調に陥り、さらに関節が痛み出したのです。
でも、このとき著者の中のバイオハッカーが目覚めました。
変化を起こしている要因は著者ではなく、コーヒーのほうなのです!
そこで、コーヒーの生産・流通をリサーチしてわかったのは、「コーヒーはどれも同じではない」ということでした。
「オーガニック」が常によいわけではない
低度のカビ毒にあたるだけで、心身の働きが鈍くなる人が多くいます。
高度の毒だと、心筋症、がん、高血圧、腎臓病、さらには脳損傷といった、深刻な症状を生じます。
コーヒーの木が病原菌などの有害なストレス要因にさらされていた場合、コーヒーは(砂糖なしでは飲めないほどに)苦くなります。
コーヒー豆に生えるカビの量は、生産ロッドごとに変わります。
あなたが買うコーヒー豆の種類がとても重要なのです。
コストが安いコーヒーは、低品質なコーヒーを使っているだけでなく、カビ毒に侵された傷んだ豆を高い割合で含んでいるからです。
データーは「従来の常識」と正反対
カビに敏感であることから、さらに著者は調べを進めました。
自分のホルモン値も調べたところ、甲状腺ホルモン、副腎ホルモン、テストステロン(男性ホルモン)、エストロゲン(女性ホルモンに問題があるうえに、橋本病(慢性甲状腺炎)という診断も下されました。
著者は甲状腺を治したくて、食事とホルモンの関係を調べ始めました。
すると、飽和脂肪酸コレステロールがホルモンの基本成分であることがわかり、そこでもっと飽和脂肪酸を食べる実験を開始。
大きな飛躍となったのは、牧草飼育牛(グラスフェッド)のミルクから作ったバターを多く食べだしたことです。
この試みには、実は内心はびくびくしていました。
生まれてこの方、脂肪は体に悪い、と聞いてきたからです。
しかし、覚悟を決めてグラスフェッドバターを使っていくと、魔法のようなことが起こりました。
著者は集中力が高まり、痩せ始め、血液検査でも炎症が減ったのです。
そこでさらにメカニズムを解明していくと、レプチンというホルモンとのかかわりが分かりました。
これはエネルギー消費、食欲、動作、体重調整にかかわる役割を果たしています。
体の需要が満たされるだけの食事を摂ったとき、「食べるのをやめろ!」というシグナルを伝えてくれるのです。
レプチンは脂肪細胞から作られ、レプチン値は体脂肪率に比例します。
つまり、太っているほどレプチン量があります。
しかし著者のように太りすぎると、レプチン抵抗性ができます。
すると脳は「お腹いっぱい」というシグナルを受け取らず、体重増加します。
レプチン抵抗性はインスリン抵抗性の前兆でもあり、2型糖尿病や肥満症につながります。
「空腹ホルモン」をハックする
レプチンは前述のとおり、抵抗性が付きやすいものです。
また、果物から摂取される果糖の大量せっすも、中性脂肪値を上昇させて、レプチン抵抗性をつくらせます。
中性脂肪はレプチンの輸送を阻害し、強い食欲を禁じるシグナルを受け取ることを最も必要としている脳の部分、視床下部への侵入を妨げます。
著者は中性脂肪値を低く保つよう完全無欠ダイエットを設計しました。
果糖を制限。
食物毒素を排除。
そのことで強烈な食欲やごほうび感覚を抑制。
それによりレプチン値をリセットして、減量しやすくなります。
レプチンに敏感な身体にしておけば、本当に食べ物が必要なときだけ、お腹がすくようになります。
頭の回転が速くなり、記憶力がはっきり上がる
健康な人の驚くべきホルモンバランスを調べると、レプチンとともに働く分子がもうひとつわかりました。
それは「血中作用性腸管ポリペプチド」(VIP)です。
これは、腸、すい臓、脳の重要な調節システムである脳下垂体と視床下部などの組織で作られている。
VIPが十分にもてていない動物は、血糖、インスリン、レプチンのすべての値が上昇して、甘いものを強烈に欲する。
VIPは神経調節、伝達物質に働き、多くの重要な機能を担っています。
脳機能、睡眠、グルコース(血糖)制御の改善もできる。
つまり健康なVIP値を保たないと、体調が悪くなるのです。
VIP値は中枢神経系の主要な調節因子で、体内時計や学習と記憶、免疫、炎症、ストレスや脳外傷への反応などの調整に関係しています。
著者はVIPの調節をただちにダイエットの重要ポイント定めました。
VIPは適切な脳の働きと腸の炎症予防に不可欠。
毒素にさらされるなど、ストレスがかかる時期には、VIPの生成が止まります。
食物やカビだらけの建物によくみられるコウジカビ属アスペルギルス。
この毒素にさらされたマウスは、VIP値が下がることが知られています。
人間がカビ毒を受けた場合にも同様のことが起きそうです。
VIP値とレプチン値は互いに制御しあうので、レプチン感受性を保ち、VIP機能を高めることが大切です。
著者のダイエットは、多くの人が生まれ変わったようだと言います。
ぐっすり眠れるようになり、頭の回転が速くなり、記憶力が増大し、パフォーマンスが高くなるのはそのためです。
まとめです。
1.食べ物でIQが変わる
2.加工肉はできるだけ食べない
3.トマト、ナス、ピーマン、ジャガイモは生食しない
4.ケール、ブロッコリ、スイスチャード、ほうれん草はゆでるなどして食べる
5.コーヒーを飲む際、常用しないとイライラするようなら、体質に合わない
6.果糖(果物)は野菜じゃない。食べ過ぎない
7.身の回りのカビに気をつける
8.グラスフェッドバターが良い
とても素晴らしい一冊なので、また続きをご紹介します。
本書を読みながら、グラスフェッドバターをAmazonで注文しました^ ^
よかったら本屋さんで手に取ってみてください。
さらに詳しい内容がたくさん詰まっております。
今週もお疲れさまでした。
ゆっくり休んでくださいね。
では、また。