仕事やお金など、将来のことを考えると無性に不安になったり、むなしい気持ち、悲しい気持になってしまったり、そんな自分に嫌気がさしたり。
これが他の人の話なら、「そういうもんだから、悩んでも仕方ないよ」「割り切るしかないって」などと思うけど、それが自分のことだとそう簡単にはいきません・・・。
こんばんは、ラブです。
どうしたら、悩むほどでもないことを、上手に気にせず、悩まずいられるのでしょうか?
それを「つまりは、気の持ちようが大事!」といった精神論ではなく、脳や人体の仕組みから考え、理解し、そのうえでどう行動に移すか、どう考え方を変えていこうか、というのが本著です。
人間の脳は理由や理屈がわかると、「納得」「安心」「満足」するという非常に冷静で知的な機能を持っています。
そしてもう一つ重要なのは、脳は日々の習慣によってクセが変わっていくということです。
例えば感情を揺さぶられる出来事に対しても、落ち着くためのちょっとしたアクションを習慣化することで、耐性をつけることが可能です。
つまり、訓練によって、冷静さやタフネスを身につけることができるのです。
ですから、一見どうしようも出来なさそうに見える感情も、その気になればある程度はコントロールが可能です。
まるでスイッチのように、ちょっとくらい嫌なことがあっても、すぐに意識を切り替えることができるのです。
著者は、もともと内科医、精神内科医として大学病院に勤めていた「脳科学者」です。
医師という仕事を通して、患者さんたちの悩みに向き合う中で、解決できない悩みは「どうしても悲観してしまう気持ち」や「どうしても気になって忘れられない気持ち」という感情の問題でした。
割り切れない感情
「恋人やパートナーに対する不満」や「仕事や職場での許せないこと」が「わかっちゃいるけれど」、割り切れずに1日中頭を離れなかったり。
この割り切れない気持ちは、心の中の漠然とした心配や不安と混じり合っています。
「割り切れない」人がすべきこと
この感情を解消するには「ミラーニューロン」を用います。
直訳すれば、「鏡のような神経細胞」です。
他人の行動を見たときや、その言動を自分が真似した時に活動する神経細胞です。
人間が他人の行動を真似したり、共感したり、理解したり、共感できるのは、このシステムがあるからだとわかってきました。
この機能によって、人は学ぶことができ、成長でき、他人のいいところを取り入れていくことができます。
ですから、割り切れない気持ちに悩まされてしまう場合は、「割り切れている人」の真似を積極的にしていくことに効果があります。
ですから、「ものごとを後ろ向きに考えちゃうな・・・」と思う時は、前向きでポジティブな友達と話をしてみたり、そういう人の言動や考え方をちょっとでもいいから真似してみること。
嫌な気持ちにドンドン引きずられないように、自主的に環境を変え、付き合う人を変えたり、習慣を変えたりすることで、改善されていきます。
その中で、「こんなことで悩んでも仕方ない」「まずは目の前のことを片付けよう」という悟りのようなものが開けたり、意識を上手く切り替えるスイッチを身につけられる瞬間が来ます。
イラッときても、ちょっと待つことで前頭葉が動き出す
気にしたくないけど、気にしてしまうことの代表は「怒り」ではないでしょうか。
嫌味を言われた、約束を破られた、思うようにいかなかった・・・。
ちょっとしたイライラは日常の中にあります。
怒りとは原始的な大脳辺縁系の働きによるものであり、それを押さえるのは理性的な前頭葉の役目です。
しかし、急に出現する辺縁系の活動、たとえば「嫌味を言われた」といったことに対して起きる瞬間的な怒りに、前頭葉はすぐさま対応できないので、私たちはイラッとしてしまうのです。
しかしここで大切なことは、前頭葉は少し我慢していると活動を始めて、ある程度の怒りはおさえることができるということです。
基本的に小さな怒りなら、脳は上手に処理できるのです。
しかし、この少しのがまんが足りなくて、「むかつく」などの言葉に出したり、舌打ちしたりしてしまったとします。
すると相手もその言葉にイラッとする。
売り言葉に買い言葉で、それ以上の言葉が出て、収拾がつかなくなります。
ですから、最初の怒りの火が小さいうちに言葉や態度に出さず、ちょっとだけがまんする。
この「ちょっとのがまん」が怒りをおさえる最大のポイントです。
瞬間的な怒りを収める 短く、深呼吸を3回
怒っているときに活動する大脳辺縁系は、サルやイヌ、うさぎ、トカゲでも持っている機能です。
つまり人間は昔から「イラッとする」動物でしたが、「少しがまんすれば気持ちが収まる」ものです。
昔はよく「頭を冷やせ」などと、ちょっと間をおいて怒りを鎮める言い方をしたものですが、最近は非常に些細なことでイラッとして暴力沙汰になったりしています。
そこで、「ちょっとのがまん」は、何秒くらいかかるのか。
それにはだいたい3~5秒と言われています。
この時間を上手く稼ぐ動作をとることで、あなたは怒りを操作することができるのです!
深呼吸はその1つです。
大きく息を吸って吐く。これを深く1回行う。もしくは短く数回行えば、3~5秒かかりますね。
深呼吸は、自律神経のバランスを整えます。
横隔膜が刺激されるので、交感神経と副交感神経のバランスがよくなるのです。
実際アメリカの教育現場では、生徒が怒りを見せた時は「短く3回深呼吸しなさい」と教えるそうです。
状況が許すなら「その場をいったん離れる」「水を呑む」「咳をする」でもよいとされています。
「怒るのは人として未熟だからだ」と言い聞かせる~思考のクセをつけていく
大脳辺縁系は、人間だけではなく動物にも存在する本能的な活動を行うところです。
ですから、怒りがうまれてきたときには
「怒るのは未熟な証拠だ」
「こんな程度のことで、情けない!」
「怒っているのは、動物の脳だ」
と戒めるための思考のクセをつけるのも一つの方法なのです。
脳はまとまった器官ではなく、実際は多くの独立したシステムの集合体です。
スマホが電話やメール、ゲームなど別々のアプリをスムーズに動かせるのと同じです。
「これは脳が勝手に起こっているだけだ」と切り離して考えてみるのも、OKです。
特定のフレーズを頭の中で繰り返すことで、時間を置くことにもつながります。
平静を保てたら、自分を褒める~「快感」を利用する
怒りは別方向でも鎮めることができます。それは「自分を褒める」ということ。
最近の脳科学の最大の話題の一つは「褒める」ということの重要性です。
褒められると嬉しくなりますが、科学的に見てみると、褒められると「報酬系」「快楽中枢」などと呼ばれる部分が活動することがわかっています。
主として活動するのは、大脳基底核の線条体という部分と中脳です。
この場所は、パチンコや競馬、カジノといったギャンブルで大当たりした時にも活動します。
つまり褒められるというのは、人間にとって快楽の一つなのです。
しかもその快感は強烈な長期記憶として貯蔵され、忘れることはありません。
だとすれば、怒りを深呼吸や自己暗示などで鎮めることに成功したら、「偉い!」「すごいな!」「さすがだなぁ」と自分を褒めてみてください。
うまく自分を褒めてあげることができると、報酬系が活動を始めます。
そこに快感を覚えれば、しめたものです。
そこからは、いらっとするたびに、自動的に「怒り抑制」→「快感」という流れが生まれます。
自分を自分で褒めることは、ちょっと恥ずかしく思うこともあります。
しかし、周りの評価に踊らされず、ものごとに一喜一憂したりしないあなたを育てていくのです。
今日もお疲れさまでした!
ゆっくり休んでよい夢を。
では、また。