職場や家庭が、互いを否定しない場所であったら?
どんなに伸び伸びと、それぞれの人の本来の能力を存分に発揮することができるでしょうか。
一緒に働く相手に対して、安心を提供するためにも、否定しないことは大事。
でも、ワタシは4月から、新しい職場で考え方の相違から仕事のパートナーを否定してしまいました。
それにより、仕事ははかどらず、関係は緊張でいっぱい、互いに意思疎通は取れず、、、。
「必要なことは、言わないとわからない」
それは、正論です。
しかし、正論だから振りかざして良い、というものではないです!
伝え方を考え、相手の立場で真剣に考えてから、ものを言う。
カッとなって言ってしまったのですが、どうしてこんなに相違があるのか、バックグラウンドをもっと想像できれば、もっと違う指示の仕方があったはず。
否定から入ると本当にうまくいかないんだなぁ、と久しぶりに勉強になった3ヶ月でした。
否定されない環境で心理的安全性を作ることは、何よりも互いの能力を最大限に引き出します。
それから、たとえアメリカ人だって、「違うなぁ」と思ったら、言い方を考えて伝えている、と本書にはありました。
「もっと、こうありたい」
「こうあるべきだ」
という思いをワタシは持ちがちでした。しかし、
「本当にそうかな?」
と、振り返る謙虚さとしなやかさを持つことが、重要だったのです。
本屋さんでこのタイトルをみた時、深く反省。
即、本書を買いました。
「の足でスタバへ一直線。
予定していない時間の使い方になったので、付箋も持ち合わせていません。
レシートを栞にしながら、2時間一気読みしました。
相手を否定しない。
それは、「褒める」よりも、「肯定する」よりも効果的な人間関係を劇的に変える方法です。
本書で指摘している「否定」とは、
・相手の言葉や考え、行動の結果を認めない
・相手の話や意見を打ち消す、聞かない、奪って違う話をする
・相手のミス、失敗を責める
・悩みの相談などに対して真剣に向き合わない
です。
ちょっと意外なものも入っていますが、忙しい時についついやってしまうことも、相手の気持ちを否定しています。
これらの「無意識の否定の習慣」を「否定しない習慣」に変えることで、人間関係は劇的に変化します。
否定する人、しない人に会ってわかったこと アメリカのカウンセラーが与えてくれた気づき
自分がなりたいものを言えば否定される。
中学生の頃、著者はそう強く思いました。
「将来何になりたいか」と聞かれたので、「F1カーの風力デザイナーになりたい」と伝えた著者。
父からは
「おまえな、もう少し普通のやつ、ないのか?言いたいことは、わかるけど・・・」
と言われました。
ちなみに母は「ふーん」とひと言唸っただけ。
大人の常識からすると、「良かれと思って」した否定ですが、それが正当化されれば、子どもの可能性を潰してしまいます。
その後いろいろありながらもアメリカ留学した著者。
留学先の学校には「進学カウンセラー」と呼ばれる人がいました。
そのカウンセラーから「ケンタロウは何になりたいの?」と聞かれました。
「また否定されるのだろうな」と思いながらも、
「将来はF1カーの風力デザイナーになりたい」と答えました。するとこう言ったのです。
「素晴らしい。じゃあ、どうやったら本当にそうなれるか、一緒に考えてみよう!」
自分が何を言っても認められるんだな、と感じた著者。
ところが、実際夢を認めてもらって、いざ「どうしたらなれるか、一緒に考えよう」と言われたら、何一つ具体的に考えていない自分に気づきました。
否定されるとカチンとくるのに、いざ賛成されると何をしていいか具体的に考えていなかった自分に気がつく。
「ああ、そうか。
相手に現実を気づかせるには、こういうアプローチもアリなのだな」
と知った、貴重な経験でした。
否定をやめたらうまくいった「白インク事件」
著者は以前印刷会社で「オフセット印刷」の営業職に就いていたことがありました。
その時、あるお客さんからこんな依頼を受けました。
「ここの部分だけど、白インクでやってもらっていいかな?」
実はこの依頼は頻繁にお客様から寄せられます。
オフセット印刷では原則白インクというものは存在しません。
そこで著者が
「白インクはないのです」
と説明すると、お客様は烈火の如くお怒りになりました。
「そんなわけないだろう!君は知らないのか。不勉強だな!面倒くさがらずに、やれと言ったら、やれ!」
「いえ、ですから、白インクはないのです」
そんな水掛け論が月に1度はありました。
そこで、著者は一切否定しないことにしました。
「ここは白インクでやってくれ」
「この文字を白く、ハッキリ見せたいんですね?」
「そうなんだよ、よろしく頼む」
「ハッキリ白く見える文字ということで、こちらで工夫させてもらっていいですか?」
「うん、それならいいよ」
そして納品の時には、刷り上がりを見せてこう言います。
「今回は背景色が赤だったので、先に赤を刷り、白文字の部分を抜く事でくっきり文字が見えるようにしてみました。
どうです、白が綺麗に出ているでしょう」
「へえ、こんな方法もあるんだ」
すると、お客様は部下にも「おい、白文字の綺麗な印刷の仕方って知ってるか?」なんて自慢げに話すほど、すっかり満足していました。
これは心理用語でいう「リフレーミング」。
同じことを言っていても、別の角度から再解釈して、相手に与える印象を変えるのです。
否定のキャッチボールは一切なしで、「もっといい方法でやらせてもらっていいですか?」と提案して、全てが丸く収まったというわけです。
「否定しないマインド」とは?
否定は無自覚にやってしまうことがほとんどです。
それを防ぐための前提が「否定しないマインド」です。
これの基本は以下の3つ
1 「事実だから否定しもいい」という思考はしない
2「自分は正しい」という思考はしない
3「過剰な期待」はしない
「事実だから否定しもいい」?
部下を無自覚で否定している上司は、よくこれを言うそうです。
「否定じゃなくて、事実を伝えているだけだよ」
「間違っていたから、指摘しただけなんだが」
こう言った反論はよくあるのですが、実は大問題。
本当のことだから、余計にまずいのです。
本当のことだからと、正当化してしまってるのです。
正論は時に武器になり、それも相手を攻撃する理由に使われる危険な道具になります。
「君の仕事は営業することだろう。
ぜんぜん新規顧客にアプローチしていないじゃないか。
これで今月の目標を達成できなかったら、どうするんだ」
これは、どうでしょうか?
よくある職場の風景ですが、さらに芋づる式に、前回のミスや遅刻が多いこと、言い訳が多いことで延々と相手を責めてしまうことも。
意見の違いは否定せずに目的を共有する
著者の知り合いは、奥様と言い争いになったことがありました。
お子さんの進学先を近所の地元の小学校にするか、ちょっと遠いインターナショナルスクールにするか、で激突。
しかし、「勝った・負けた」をハッキリさせることが重要ではないことに気づきます。
互いは争うべき敵ではなく、味方であり、同じ目的を共有する仲間。
大事なのは、子どもたちに「のびのびと楽しく育ってほしい」「安心出来る学校で、楽しく過ごしてほしい」ということ。
最終的には、近所の学校に通いながら英語の体験型スクールに通う、という事で決着したそうです。
互いの「正しさ」をぶつけ合うのではなく、「両方の意見やいい部分を合わせた選択肢を探る」方向へ軌道修正することが大切なのです。
過剰な期待はしない
「その人なりに一生懸命やっている」という魔法の言葉を使いましょう。
「期待している」はポジティブな言葉ですが、その期待が裏切られると、人は相手を否定しがち。
場合によっては、憤り、罵声を浴びせてしまう人もいるのではないでしょうか。
ビジネスの世界で生きていると、ついパフォーマンスの低さを理由に全否定してしまいがちです。
しかし、本人がわざとミスをするといった極端な場合を除けば、少なくても「本人なりに精一杯やっている」のです。
ましてや、仕事を教え、できるようにするのは上司の仕事でもあります。
今週もおつかれさまでした。
自分をゆっくり休めてあげてくださいね。
では、また。