モノを減らしたり、捨てたりするムーブメントがせかいてきに起きていますが、著者が提唱する価値観はそれとすこし異なります。
フィンランドの人々は、そもそもモノをあまり買いません。
その代わりに、いまあるモノを大切にします。
家具もおじいちゃんおばあちゃんが使っていたモノを使います。
また、フィンランドの人々は「生活」を大切にします。
やるべき仕事を終えたら、家族のために時間を使います。
料理、子育て、休暇・・・。
仕事だけに明け暮れるのではなく、自分たちの人生を、毎日の生活を、大切にしています。
そして、不インランドの人々は「スタイル」を持っています。
本書は、フィンランドで生まれ育った著者が、日本の人たちにこうしたフィンランドの「フィンランドのシンプル」を伝えたくて書き上げたものです。
ファッションだけに とどまらない、「フィンランドのほんとうのシンプル」。
少しだけ見る角度を変えれば、私たちのまわりは素敵なものごとであふれています。
そんなことに気づかされる1冊でした。
フィンランド人はいいものだけを10年使う
1.物語の詰まった古い家具を使う
先日著者はおばあちゃんの家にあったイッタラの古いデザインの陶器
やお皿を譲ってもらいました。
これは代々受け継がれてきたもの。
友人は、両親からアルウ”ァ・アールトのベンチをもらったそうです。
フィンランド人は、モノを長く大切に使います。
「古いモノにこそ価値がある」と考える人が多いのです。
ちなみに、年にある1900年代初期のアウ”ァンギャルド・スタイルのマンションは人気が高く、新しいマンションや家よりも値段が高いのです。
これらのマンションには、独特の雰囲気があり、新しいマンションにはない味があります。
古いモノにはなにかしら「物語」があります。
そのモノを囲んで家族で笑いあったり、喧嘩したり、泣いたりしたことでしょう。
そんな物語が古いモノには染みこんでいる。
そこが魅力なのです。
2.身近な道具を「デザイナー」で選ぶ
長く使うことが前提なので、フィンランドの人々の買い物は合理的です。
かうときの基準は「シンプルで、素朴で、自然で、落ち着いているモノ」かどうかです。
著者は、「価格と品質のバランス」をとても大切にしています。
また、そのモノがほんとうに必要なのかを十分に考えます。
気軽に購入することはないのです。
また、「誰がデザインしたのか」ということも、買い物には大切な基準です。
特にデザイナーの名前がついているものは、大切に使って次に伝えていこうという意識が強いのです。
この国では、学校を卒業して独り立ちするときに「食器はどのシリーズで揃えたいの?」と親に聞かれることがあります。
親戚や友人にもなにかプレゼントしてくれるときに、そのシリーズの食器を少しずつ買い足していってくれます。
デザイナーが手掛けたモノには「哲学」があります。
統一してみるのも素敵だと思います。
3.必要なモノはすぐそこにある
著者が服を買うのは、本当に必要なときだけです。
あまりに古くなって着られなくなったときに、新しい服を買うのです。
「安いから」という理由だけで買うことはありません。
これと同じ考え方は、ほかの買い物の時にも当てはまります。
理想的には、必要なモノだけに囲まれ、ほかには何もない家にすること。
流行や安いモノに執着することなく、たとえば家族の宝物、代々継承されてきたモノ、長い間大切にしてきたモノだけを家に起きたいのです。
著者に必要なモノは数えるほどしかありません。
リラックスしてふだん儀と仕事用の服。
スポーツ用の服、ランニングシューズ、冬のシューズ、20念使っているスキー板、同じくらい古いノルウェーのストック、15年以上乗っているマウンテンバイクもメンテナンスをすればまだじゅうぶん乗れます。
それから、本、基本的なキッチン用品、ホーム・テキスタイル、仕事に行くためと娘のおけいこの送り迎えをするための中古車、それぐらいで事足ります。
4.環境にもお財布にもやさしい買い物
日本では新品のモノを買うのがスタンダードかもしれません。
ひと昔前は、フィンランドでも「中古品は安く手に入れるために学生が使っているもの」という印象でした。
しかし、環境への配慮からリサイクルする人が増えています。
今ではリサイクルにポジティブな意識を持っている人がほとんどです。
なにげない一瞬を最高に楽しむ
5.日常を通り過ぎず立ち止まる
著者は、図書館の自習室でこの文章を書いています。
自転車で5キロを走ってきました。
つめたい新鮮な空気、さわやかな夏の香りがしました。
帰りのサイクリングも、すこしだけ立ち止まります。
勢いよく流れている川や川面を眺めるのです。
私の生活の中でも取り入れやすいことだけピックアップしました。
リラックスして過ごす時に、素敵な読み物としてもちょうど良い本です。
良かったら書店でお手に取ってみてください。
今週もお疲れさまでした。
ゆっくり休んでくださいね。
では、また。